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出身者が「戻りたい」都道府県ランキング Uターン意欲調査

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◆8位 兵庫県 23.7点

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兵庫県出身者は、進学や就職で大阪や東京などに拠点を移す人が多い一方で、関西圏の中で地元との距離感を保ちやすく、Uターンの選択肢を手放していない人も多い。今回の結果では「すぐにでも戻りたい」「いつかは戻りたい」「戻ってもよい」のいずれも全国平均を上回り、タイミングや形はさまざまでも、兵庫に生活拠点を戻すことに前向きな層の厚さがうかがえる。

神戸や阪神間、播磨の工業地帯などには製造業や物流、サービス、医療など多様な仕事があり、大阪や京都にも通いやすい交通環境が整っている。海と山が近い景観や、比較的抑えめの住宅費、通勤時間の短さは、結婚や子育てをきっかけに暮らし方を見直す世代にとって魅力になりやすい。企業や自治体がテレワークや副業を前提とした採用や、県外在住者向けの情報発信を広げていけるかどうかが、「大阪や京都など大都市圏の職場との行き来は続けながら、暮らす場所は兵庫に戻す」という動きを押し広げる鍵になりそうだ。

◆7位 東京都 23.8点

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東京都出身で現在は地方や海外に暮らす人の中には、生活環境や家族の事情から一度地元を離れつつも、東京を「働く場所としてのホーム」と捉え続ける層が少なくない。今回の結果では「すぐにでも戻りたい」と答えた割合が平均をかなり上回る一方、「いつかは戻りたい」はやや控えめで、「戻るならタイミングが合ったときに早めに決めたい」という姿が浮かぶ。「戻ってもよい」まで含めると前向きな層の厚さも目立ち、キャリア上の選択肢として東京を再び強く意識する人が多いと考えられる。

ITや金融、メディア、スタートアップなど多様な仕事が集まり、キャリアの幅は国内でも突出する一方で、住宅費や通勤時間、子育てコストの高さはUターンをためらわせる要因にもなる。結婚や子供の進学、パートナーの仕事といったライフイベントの変化に合わせて「地方での暮らしを経て、キャリアの軸足は東京へ戻す」選択を取る人も想像され、企業側がリモートワークや二拠点居住を前提にした働き方を広げられるかどうかが、その流れを左右しそうだ。

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Text by 切川鶴次郎