紫式部に関する逸話10選 源氏物語に別作者が? 日記に清少納言批判?

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◆5.寂しさが生んだ『源氏物語』

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 紫式部は26歳ごろ、藤原宣孝(のぶたか)と結ばれた。長女・賢子(けんし)を授かったが、20歳以上も年上だった宣孝が死去したことで、結婚生活は3年間という短さで幕を閉じる。寂しさを紛らわせるように紫式部が没頭したのが『源氏物語』の執筆だ。悲痛な運命がなければ、世界に名だたる名小説は誕生していなかったかもしれない。

◆6.「かな」でしたため大成功

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 平安時代、漢字を崩した形状から「かな文字」が誕生した。硬い印象の漢字よりも心の機微をよく写し取る表現手段として、貴族の女性の間で広く受け入れられることになる。この仮名文字を使い、女流作家が恋愛模様の切なさを書いた『源氏物語』は、しみじみとした感情を語る名作として人気を博した。

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Text by 青葉やまと