温暖化で溶ける氷、蘇る病原体……パンデミックの危険性は?

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◆それでもパンデミックは起こる 病原体は温暖化で快適
バクテリアのなかには、長期の低温にも耐え、タイミングさえ合えば人に感染するものもあると、ニュー・リパブリック誌は解説する。シール・フィンガーと呼ばれる、アザラシを扱う人の指に感染するバクテリアがそうだが、人から人への感染はなく、普通の抗生物質で治るということだ。アウトブレイクを抑えるのに比較的簡単な方法はワクチンで、天然痘も炭疽菌もワクチンは存在している。早期に診断できれば、コミュニティでの予防措置も取れ、ワクチンの供給も行えるとしており、既知の病原体に関しては、そう大きな心配はいらないのかもしれない。

未知のものについても、スイスの研究者、ビート・フレイ氏は、氷の中の病原体が直接人にうつることはなさそうだとしている。融雪水を飲んだ動物に感染する可能性はあるが、架空のシナリオであり、ほぼ起こらないだろうとしている(SWI)。

ニュー・リパブリック誌は、温暖化により古い病気が復活するのではなく、むしろ病原体が繁栄を維持するのに、よりよい環境が作られているといえると指摘する。氷の下から出て来るか否かにかかわらず、パンデミックには今後常に警戒せよという考えだ。同誌は、人類は新型コロナから多くを学んだとし、病原体をよりありふれたものにする地球温暖化と戦うことから、病院、研究室そしてコミュニティを守ることまで、次のパンデミックに向け、備えをするべきだとしている。

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Text by 山川 真智子