なぜ東京が「経済的豊かさ」全国最下位なのか 中間層の厳しい現実
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◆東京の実像を描く一つのデータ
以上のように、ある尺度をもとにした場合、東京は日本で最も貧しい街という結果になるようだ。今回は国交省資料で触れられている内容に基づき、中央世帯の収入から、税、社会保険料、家賃、食費、水道光熱費、そして通勤による機会費用の損失を差し引き、残された余剰資金を経済的豊かさの指標とした。
あくまで一つの物の見方であり、もちろん別の考え方も存在する。たとえば、会社員やフリーランス、あるいはアーティストなど働き方を問わず、大企業が立地し各種文化の中心地となっている東京に住んだ方が、成功を収めやすい可能性は否定できない。人並み以上の成功を狙い東京に移り住む人にとっては、そもそも中央世帯に限定するデータの取り方はあまり意味がないとも言える。富裕層の多い都市ランキングでは、東京は世界でもかなり上位に食い込んでいる。
また、国交省資料では、各都道府県の時間あたりの収入を考慮したうえで、通勤による機会損失を算定している。同じ1時間の通勤であっても、都市部の方が地方より大きな損失を被っているという前提に立っているが、この考え方に賛同できる人ばかりではないかもしれない。
このように、本ランキングはある一つの考え方に基づいたものであり、東京暮らしが必ずしも貧しいと示すものではない。とはいえ、一般に東京に対し、きらびやかなイメージが抱かれがちなことも事実だ。平均的な家庭の生活は意外にもシビアであることを示す、一つのデータだと言えるだろう。