新幹線を夢見たイギリスのHS2計画、いかに「悲惨な失敗」に至ったのか

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◆内閣交代で迷走続く
 報告書はまた、HS2の根本的な問題の一つは、責任の所在が誰にあるのかが不明確であったことだとも指摘する。国会か運輸省の事務次官か、HS2の会長か最高経営責任者(CEO)かなど、長期にわたり主導権を持つ存在が定まらなかったという。

さらに内閣が頻繁に代わり、首相、財務相、運輸相が入れ替わるたびに、HS2を必要とする根拠が変わってしまった。一貫した目標設定が困難になり、最終的に事業の見直しを余儀なくされたと記事は分析している。

スナク首相が23年10月に一部区間の中止を発表|ComposedPix / Shutterstock.com

 そもそもイギリスに高速鉄道は不要だったとの指摘も上がっている。元首相補佐官のギリガン氏はBBCの取材に対し、「スペインやフランス、ドイツとは異なり、イングランドの主要都市は、ニューキャッスルを除いて、すべて200マイル(約320キロ)以内の距離にあります」と述べている。この距離内の都市間移動に、本来は高速鉄道は不要だと氏は批判する。

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Text by 青葉やまと