米国の「ごみ屋敷」事情 40人に1人「捨てられない病」

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◆ごみ屋敷が引き起こす問題点
 ごみ屋敷や極度の汚部屋では、多少散らかっていたり片付けが苦手という度合いを超えて必要以上にモノがあふれている。

 たとえば、アメリカのテレビ局CBS8の報道によれば、サンディエゴのあるごみ屋敷の住民に対し、近隣住民が法的処置を求めたという。「(その女性の)敷地はごみ捨て場で、家に帰った彼女が、玄関のドアを開けるために苦労する声が聞こえてくるほどごみで埋め尽くされています」と近隣住民は語り、ごみ屋敷に放置された腐った食べ物のためネズミが発生していると、市に被害を受けていたという。再三にわたる要求にもかかわらず、ごみ屋敷は幾年も適切に管理されず、とうとう、管財人の管理下に置かれて外部の団体が清掃の責任を引き受けることになった。清掃には莫大な費用がかかるだろう。

 ごみ屋敷を放置すると、ネズミや害虫が発生するという以上に深刻な問題が起こる可能性もある。テキサス州のヒューストンでは、警察官や消防士らが、防護服、手袋、マスクに身を包み、ごみ屋敷の住人である70代半ばの男性の遺体を探さなければならなくなった。

ABCネットワークのヒューストン支局ABC13によると、「死体捜索犬が、4フィート(約1.2メートル)ほどのごみの下に、非常に腐敗した遺体を発見した」という。

 ニュース記事には死因についての言及はないが、歩く隙間もないほどモノで埋め尽くされた家が、衛生的で健康に暮らせる状態ではなかったことは明らかだ。また、具合が悪くなって助けを求めたくても、モノが多すぎて玄関まで辿りつけなかった可能性や、家の内外にたまったごみのために近所付き合いが減って声をかけられることが少なくなり、身体の調子が悪いまま孤独死となったことも考えられる。また、何らかの拍子に多くのモノがあちこちから落ちてきて圧死という可能性もあるだろう。

 ごみ屋敷は、見た目が悪いだけでなく、近隣住民にはもちろん住んでいる住人にも危険なのだ。

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Text by 西尾裕美