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日本上位 世界「自動車輸出額ランキング」トップ15 2021年

◆10位:中国 251億ドル

Robert Way / Shutterstock.com

 中国の自動車産業は、世界最大級の市場規模を背景に、電動化を軸に勢力図を塗り替えている。政府の産業政策と補助制度、充電インフラ整備が普及を後押しし、電気自動車では新興メーカーが台頭した。車載電池の供給網も強く、原材料の調達からセル製造、パック化、リサイクルまでの垂直統合を進める企業が多い。加えて、ソフトウエア更新や運転支援、車内インフォテインメントを競争力の源泉と位置付け、開発サイクルを短縮している。価格競争の激しさは課題だが、国内で鍛えたコストと開発速度を武器に輸出も拡大しつつある。

 一方で、国際市場では安全基準や関税、地政学リスクへの対応が重くのしかかる。中国は「量」の国から、「電動車とソフト」で勝負する国へ転じつつある。

◆9位:スロバキア 268億ドル

Stefan_Sutka / Shutterstock.com

 スロバキアの自動車産業は、人口規模に比して生産の存在感が突出しており、中欧の完成車組立拠点として知られる。地理的にドイツなど主要市場に近く、物流面で有利なうえ、外資メーカーの投資を呼び込みやすい環境が整ってきた。結果として、国内経済に占める自動車関連の比重が大きく、雇用と輸出の柱になっている。部品サプライヤーも周辺に集積し、車体、内装、電子部品などの供給網が組立工場を支える。

 一方で、外資依存が強い構造は、需要減速や生産再編の影響を受けやすいという弱点でもある。電動化が進むほど、エンジンや変速機など従来部品の仕事が縮小し、電池やモーター、制御ソフトといった新領域の取り込みが課題になる。スロバキアは生産拠点としての強みを保ちながら、次の技術波にどう適応できるかが問われている。

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Text by 青葉やまと