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日本上位 世界「自動車輸出額ランキング」トップ15 2021年

◆8位:カナダ 289億ドル

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 カナダの自動車産業は、アメリカ市場と一体化した供給網の中で発展してきた。オンタリオ州を中心に組立工場や部品メーカーが集まり、国境をまたぐ部品の往来を前提に生産が組まれている。完成車だけでなく、エンジンや駆動系、車載電子部品などの分野でも存在感があり、北米の量産体制を下支えする役割が大きい。

 近年は電動化の進展を受け、電池材料や資源、精錬、部材供給といった上流側の強みが注目される。寒冷地での性能検証や耐久試験など、環境条件を生かした開発面の価値もある一方、投資判断は北米需要や政策動向に左右されやすい。電動車の生産誘致と、電池供給網を国内で太くできるかが競争力の鍵になる。

◆7位:イギリス 301億ドル

balipadma / Shutterstock.com

 イギリスの自動車産業は、大量生産と高級車、そしてモータースポーツ技術が同居するのが特徴だ。ジャガーやランドローバーなどのブランドに加え、超高級車や高性能車の開発・生産が一定の存在感を持つ。中部を中心にサプライヤーと研究機関が集まり、設計開発や試作、エンジニアリングサービスが強い。さらに、いわゆる「モータースポーツの谷」と呼ばれる地域にはレース関連企業が集中し、空力や軽量化、制御技術の知見が市販車にも波及してきた。

 一方で、欧州との貿易条件の変化や、電動化に伴う投資負担は重い。内燃機関の伝統を抱えつつ、電動車への転換、電池の調達、車載ソフトの競争力確保が急務になっている。イギリスは、得意な開発力と高付加価値領域を武器に、電動化時代の産業構造へ移行できるかが焦点だ。

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Text by 青葉やまと