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日本上位 世界「自動車輸出額ランキング」トップ15 2021年

◆12位:ベルギー 230億ドル

Thomas Dekiere / Shutterstock.com

 ベルギーの自動車産業は、完成車ブランドで世界を席巻するというより、欧州の生産・物流の要所として成り立ってきた。地理的にオランダやドイツ、フランスに近く、港湾や道路網が発達しているため、部品の調達から車両の輸出入までサプライチェーンの結節点になりやすい。国内には組立工場や部品メーカーが存在し、需要変動に合わせて生産機能が再編されやすいのも特徴だ。

 近年は電動化の流れの中で、バッテリー関連、パワーエレクトロニクス、化学素材、リサイクルといった周辺産業の役割が増している。完成車の大量生産だけに依存せず、研究機関や企業が連携して新素材や環境対応技術を取り込む動きもある。ベルギーは「作る国」というより「動かす国」として、欧州の自動車産業を支える位置付けが強い。

◆11位:チェコ 236億ドル

tomas devera photo / Shutterstock.com

 チェコの自動車産業は、中欧有数の生産拠点として存在感が大きい。象徴的なのがシュコダで、長い歴史を背景に大衆車から上級志向まで幅広く展開し、欧州の量産車市場を支えてきた。チェコは賃金水準や立地の優位性に加え、熟練した技術者層と部品産業の集積があり、完成車メーカーとサプライヤーが近距離で連動しやすい。結果として生産性が高く、欧州域内向けの輸出産業として経済への寄与も大きい。

 一方で、電動化が進むほど部品点数の変化や設備投資の負担が増え、従来の内燃機関中心の強みだけでは競争力を保ちにくい。電池、モーター、車載ソフトなど新領域への移行をどう進め、国内の雇用と技術基盤を更新できるかが、今後の焦点になる。

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Text by 青葉やまと