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日本上位 世界「自動車輸出額ランキング」トップ15 2021年

◆6位:スペイン 344億ドル

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 スペインの自動車産業は、欧州の主要な量産拠点の一つとして成り立っている。国内に複数の完成車工場があり、欧州域内向けの輸出産業として経済への寄与が大きい。部品メーカーの集積も厚く、車体、内装、足回り、電子部品などの供給網が組立を支える。地理的には欧州西端に位置するが、港湾と高速道路網を生かして物流を最適化し、国際メーカーの生産計画に組み込まれてきた。

 近年の最大の課題は電動化で、従来の内燃機関中心の生産ラインや部品構成をどう転換するかが問われる。電池工場の誘致や充電インフラ整備、再生可能エネルギー活用などを進め、電動車の生産競争に食い込もうとしている。一方で、需要変動や生産再編の影響を受けやすく、雇用を守りながら産業の高度化を進める政策運営が重要になる。

◆5位:メキシコ 414億ドル

Paceman / Shutterstock.com

 メキシコの自動車産業は、北米の供給網の中核として拡大してきた。アメリカ市場に近い立地と、国境をまたぐ物流のしやすさを背景に、完成車の組立工場と部品メーカーが各地に集積している。生産された車両はアメリカやカナダへ輸出される比重が高く、雇用と外貨獲得の柱になっている。さらに、エンジンや変速機、ワイヤーハーネスなど労働集約度の高い部品分野でも存在感がある。

一方で、電動化が進むほど部品点数や工程が変わり、従来型の強みが揺らぐ可能性がある。アメリカ・メキシコ・カナダ協定の原産地規則や、北米の政策変更、為替、治安やインフラなどの要因も投資判断に影響する。今後は電動車の組立、生産設備の高度化、電池や素材の供給網を北米でどう構築するかが、メキシコの競争力を左右する。

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Text by 切川鶴次郎