×

史上最高の国産クラシックカー・トップ20 米ファンが選んだ1位は……?

日産自動車

◆9位:日産 240SX(日本名「シルビア(5代目)」)

日産自動車

日産 240SXは、日本では5代目シルビアとして知られる後輪駆動クーペで、海外とくに北米で独自の人気を築いた日本製クラシックだ。軽量でバランスの良いシャシーに加え、扱いやすい出力特性が「ドライバーの腕で走らせる」楽しさにつながり、ワインディングからサーキットまで幅広く支持された。最大の理由はドリフト文化との結び付きで、90年代以降に北米で広がったドリフトシーンの中心車種になり、改造ベースとして定番化した。結果として、純正に近い個体が急速に減り、状態の良い車両ほど希少価値が高まっている。デザインは低いノーズと滑らかなラインが特徴で、当時の日本車らしい端正さとスポーティさを両立する。いまでは「手頃で遊べるFRクーペ」だった時代を象徴する存在として、チューニング車だけでなくノーマル車の再評価も進む。海外で育ったカルチャーが価値を押し上げた典型例と言える。

◆8位:トヨタ AE86(日本名「スプリンタートレノ AE86」)

ThijsDeschildre / Wikimedia Commons

トヨタ AE86は1980年代の小型後輪駆動クーペで、軽さと素直な操縦性によって海外でも伝説的な人気を持つ日本製クラシックだ。高出力ではないが、車重の軽さと回して使えるエンジン、よく動く足回りが組み合わさり、コーナーをリズム良くつないで走る楽しさが際立つ。とくに後輪駆動の挙動が分かりやすく、限界域のコントロール性が高いことから、グリップ走行だけでなくドリフト文化とも強く結び付いた。海外では日本のモータースポーツやストリートカルチャーの象徴として語られることも多く、作品や映像の影響も含めて「憧れの小型スポーツ」として認知が広がった。いまでは良質な個体が減り、錆の少ない車両や純正度の高い車両は相場が上昇し続けている。派手さより運転の中身で愛される点が、AE86を長寿のクラシックにしている。

次のページ ジェームズ・ボンドの相棒にも

Text by 切川鶴次郎