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海外が「日本から学べ」と言っている20のこと

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◆17.自然災害への備え

Seismic reinforced buildings

自然災害への備えは、日本の生活文化と制度の両方に深く組み込まれている。地震や台風が現実のリスクとして身近なため、被害を前提に「起きた後」を具体的に想像する。避難訓練やハザードマップ、防災無線に加え、家庭でも飲料水や食料、携帯電源を備蓄し、家族の連絡方法を決めておく。自治体や地域の自主防災組織が機能しやすいのも特徴だ。完璧に防ぐのではなく、被害を減らし復旧を早める発想が共有されている。気候変動で災害が増える中、この「備えを日常化する」姿勢は他国でも参考にされている。

◆18.合意を重視する意思決定プロセス

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日本の意思決定は、結論の速さより合意の厚みを優先する場面が多い。会議の前に根回しで論点を整理し、関係者の懸念を先に吸収してから決裁に進む。手続きは回り道に見えるが、いったん決まれば実行段階での抵抗が少なく、現場が動きやすい。責任を一人に集中させず、関係者が当事者になる設計でもある。もちろん緊急時には遅さが弱点になるが、複雑な組織ほど「誰がどこでつまずくか」を先に潰す効果は大きい。対立を勝敗にしない調整の技術として、海外の企業や行政も関心を寄せている。

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Text by 切川鶴次郎