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海外が「日本から学べ」と言っている20のこと

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◆7.「いただきます」の習慣

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食事の前に「いただきます」と言う習慣には、料理だけでなく食材や作り手、命そのものへの敬意が込められている。単なるあいさつではなく、食べる行為を意識化し、感謝を言葉にする装置だ。忙しい日でも一呼吸置くことで、食事が作業になりにくい。家庭や学校で繰り返されるため、共有のマナーとしても機能し、場の空気を整える。フードロスや食の分断が課題になる中で、「食べる責任」をやわらかく教える文化として注目されている。

◆8.チップ不要の文化

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日本ではチップを渡す習慣がなく、サービスへの対価は料金に含まれている。対価を明朗にし、サービスの質を「心づけ」に依存させない仕組みとして機能している。料金にサービス料や人件費を含める前提があるため、客は計算や判断に迷いにくく、店側も接客を標準化しやすい。会計がすっきりすることで、互いの気まずさや期待のズレも減る。例えばタクシーや飲食店で、支払い後に追加のやり取りが発生しにくいのは大きい。多国籍の客が増えるほど、慣習の違いによる摩擦を減らす効果もある。もちろん賃金設計の課題は別に残るが、感謝は言葉や態度で示し、支払いは契約で整えるという考え方は、安心と公平感を生む。

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Text by 切川鶴次郎