×

世界ソフトパワーランキング、日本上位に 上位20カ国

niroworld / Shutterstock.com

◆16位 ロシア 58.1

Jack.Q / Shutterstock.com

ロシアのソフトパワーは、伝統的に文化・科学・スポーツにおける影響力が大きな柱となってきた。文学ではトルストイやドストエフスキー、音楽ではチャイコフスキーやストラヴィンスキーといった巨匠を輩出し、バレエやクラシック音楽は今も世界的に高い評価を受けている。また、宇宙開発や軍事技術における先駆的な業績も「科学と教育」の領域で強いブランド力を持つ要因だ。

一方で、近年はウクライナ侵攻をはじめとする外交政策により、国際社会からの批判が強まり、評判や統治の評価は低下している。国際関係においては孤立傾向が強まっているが、エネルギー資源供給国としての地位や、文化的資産の豊かさは依然として一定の影響力を保持している。つまり、伝統文化と科学技術の強みがある一方で、政治的行動がソフトパワーを大きく削ぐという二面性を抱えている。

◆15位 オランダ 58.7

SARATSTOCK / Shutterstock.com

オランダは「国際協調」と「革新性」で高く評価される国だ。国際司法裁判所や国際刑事裁判所を抱えるハーグは「国際法の都」と呼ばれ、平和・法治の象徴として世界的な信頼を集めている。また、海運や貿易の伝統を背景に、物流や金融のハブとしても存在感が大きい。さらに、風車や干拓に象徴される水管理技術や、近年の環境政策への積極的な取り組みは、持続可能性の面で国際的なモデルとなっている。

文化面ではレンブラントやゴッホなどの巨匠を生んだ芸術大国であり、現代デザインや建築分野でも独自の発信力を持つ。加えて、多様性と寛容さを重んじる社会は、移民やLGBTQ+に対しても開放的で、進歩的国家としてのイメージを強めている。こうした多方面での魅力が総合評価を押し上げ、ソフトパワー上位国の地位を支えている。

次のページ 自然資源は国の象徴

Text by 切川鶴次郎