不妊はタブーではない……女性36%、男性27%「悩んだことがある」 必要とされる社会のサポート

 毎年11月の第1週はヨーロピアン・ファティリティ・ウィークだ。ファティリティ、すなわち妊娠能力への認知向上を目指すキャンペーンで、いわば妊活ウィークというところだろうか。1978年、初の体外受精による赤ちゃんが誕生してから40周年にあたる2018年はとくに気合を入れて、ヨーロッパ全土のアドボカシー団体に行動を起こすよう呼びかけた。

◆不妊はもはやタブーではない
 ヨーロピアン・ファティリティ・ウィークのウェブサイトによると、この40年間、ヨーロッパでの体外受精出産の割合は36%上昇し、全世界では800万人以上が誕生している。それにもかかわらず、不妊が一般的な現象であることはまだまだ知られていない状況だ。世界で不妊に悩むカップルは6組に1組、ヨーロッパだけでも2500万人になる。不妊トリートメントセンターにやってくる人々の割合は毎年8〜9%の割合で増え続けている(同上)。

 ヨーロッパだけではない。11月9日には、アメリカ元大統領夫人のミシェル・オバマ氏が、二人の娘をIVF(体外受精)で授かったこと、そして流産の体験などを公表した。彼女のような影響力のある人物が重要なテーマについてオープンに語ったことに対し、同じように妊娠・出産に苦しんだ経験のある女性たちから、感謝と共感のコメントが多数寄せられた。

 不妊について口にするのはもはやタブーではない。しかしながら、オープンな話し合いができる段階にはまだ至っていないのが現状だ。原因の1つは正しい情報の少なさだ。多くのカップルが、心と体のバランスの取り方や、治療へのアクセス、将来、とくに仕事や金銭面でのサポートなどに関する重要な情報の少なさを口にしている。ヨーロッパでは、ファティリティ・ウィークだけでなく、妊活や人口について研究するヨーロピアン・ファティリティ・プロジェクトなどの取り組みもある。

◆正しい情報を正しいタイミングで
 実は日本にも、YELLOW SPHERE PROJECTという妊活サポート・プロジェクトがある。妊娠を希望してもなかなか叶わないという、個人的かつ社会的な課題に対して、より多くの人に正しい情報を「伝え」、サポートの輪を「広げ」、人々の充実した暮らしという 「未来をつくる」ことへの貢献を目指す。

 人は、就職・結婚・出産・退職など、大きな出来事を節目にした人生設計を行うことが多いが、このライフプランニングを通して、大切にしたいことは何なのかを自身に問う。人生は思いがけないことの連続であるため、状況や、気持ちの変化に合わせて、プランを見直すことも必要になる。

 新しい命を宿す為の努力を、皆が応援する社会へ。それが、YELLOW SPHERE PROJECTの先にある未来だ。

 同プロジェクトを進めるメルクセローノ株式会社が、20〜40代の男女約3万人と、妊活経験のある既婚男女600人に行った調査によると、女性の3人に1人、男性の4人に1人が不妊に悩んでいる。それにもかかわらず、男女ともに約半数近くが受診までに半年以上を要している。費用やサポートの有無に関する情報の欠如が一因のようだ。

出典:メルクセローノ株式会社

 プロジェクトをPRする動画では、アンケート回答で得られた、子供を望む男女の切ない想いを表現している。少子化時代と言われるものの、実は回答者の約5割が子どもを授かりたいと希望し、昨年と比べても増加傾向(全体44.8%→47.9%、男性44.5%→50.0%、女性45.1%→45.8%)にある。女性より男性のパパ願望が高く、特に20代男性は59.2%から68.0%と一層高い。動画ではそんな男性たちの切なる想いも表現している。

◆女性だけの問題ではない
 しかしながら、妊活を先に始めるのは圧倒的に女性が多く、女性54.3%、男性10.0%で、女性が男性の約5倍となっている。ここにはやはり、不妊は女性側が原因という社会的な思い込みがあるのではないだろうか。だが、WHOの1996年のデータによると、不妊の原因となるケースは女性側の場合が65%、男性側の場合が48%と、男性側もかなりの割合だ。しかも昨今の研究で、世界的に見られる精子数の減少、また年齢による精子の劣化に関する科学的なデータが次々に報告されている。妊活時計は男性側にもあるということだ。メルクセローノ社の調査を見ても、多くの女性が男性の理解と協力を望んでいることがわかる。

 先進国での少子化が進むいま、妊活は、もはや二人だけの問題ではない。ヨーロッパでは、政策、そして男性の参加が鍵と言われている。この2、3年やや落ちたものの、フランスで出生率が回復した背景には、男性の家事・育児への参加と、国による働く女性を支援するシステムの整備がある。

 誰もが早くから正しい知識を身につけ、社会全体でサポートの輪を広げること、ファミリー・フレンドリーな社会を構築すること——それが、子供を望むカップルのみならず、社会全体の未来を築きあげていくことにつながる。

YELLOW SPHERE PROJECTの詳細はこちら

[提供] メルクセローノ株式会社

Text by NewSphere 編集部