ニセコでスキー、東南アジアの富裕層にも人気!? “日本ですべきこと”と米誌も太鼓判
日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2014年(平成26年)度の海外からの訪日外客数(国際観光客到着数)は、約1340万人となり、過去最高を記録した。彼らが訪れる場所や目的はさまざまであるが、中でもここ10年ほどで人気となっているアトラクションがスキーである。
◆海外から注目される北海道ニセコ
日本観光といえば、東京や京都奈良などの古都、旅館の宿泊、温泉などが定番となっている。だがナショナルジオグラフィックが提案する「日本ですべきことトップ10」の5位にランキングしたのが「北海道ニセコでのスキー」である。
「雪質が最高であり、ヴァージンスノーを滑降する魅力」だけではなく「温泉も楽しめる」とその魅力を語っている。だが一番の魅力は「ニセコ全山で4カ所のスケールの大きなスキーリゾートを有する点」であるようだ。
もちろん本州を含め、近年は海外から日本のスキー場へ訪れる観光客は増えているのでとりたてて珍しくはない。だが中でも北海道ニセコ(以下ニセコ)は中でも群を抜いて人気なのだという。
新潟県湯沢で英語教師として滞在していたイギリス人とその有志が、日本のスキー情報を世界に発信するサイト「スノージャパン」を1999年頃に開設した。同サイトの掲示板には「新雪!すごいワクワクする」(ニセコモイワスキー場)、「もうすでに3回訪れているよ。来るたびに新しい発見がある」(ニセコマウンテンリゾートグラン・ヒラフ)、「とても素晴らしい山だね。少し混んでいるけど」(ニセコアンヌプリ国際)など海外からコメントが寄せられている。
◆なぜ海外のスキー客はニセコをめざすのか?
スノージャパンが開設されたいきさつから察するに、かつてスキー場の多くは国内向けニーズに対応しており、海外の潜在観光客は意識していなかったと思われる。だが口コミ、インターネットなどで情報が広がり次第にニセコは注目されるスキースポットとなった。
トレンドを紹介するサイトのトゥーヴィアでは「スキーならニセコに行くべき5つの理由」を述べている。それによるとまず「ホリデーシーズンに訪れる最高の場所である」であると定義している。その理由として「パウダースノーの雪質」はもちろん、「宿泊施設の選択肢の広さ」「レストランからカフェまで食の愉しみ」など周辺環境の充実をあげている。
ちなみにニセコ訪れるのは「東南アジアの富裕層や南半球に位置し日本とは季節が逆のオーストラリア人」が多いそうである。アジアではスキーは富裕層のレジャーでありこのような整った環境でスキーができる場所が限られている。また南半球の位置するオーストラリアは季節が逆のため夏休みの旅行シーズンであり、国内でスキーができる場所が少ない。そういった事情が背景にあるとみられている。
◆ワールドスキーアワードのベストブティックホテル部門で金賞
2013年からスキーツーリズム及び関連産業の質の向上を目的に部門別に評価する「ワールド・スキー・アワード」が開催されている。ニセコは「日本(アジア太平洋エリア)の4部門で最優秀賞」を独占し、さらにスキー本場ともいえる欧米を含む19のホテルがノミネートされた「ブティックホテル部門でザ・ヴェール・ニセコが世界最優秀賞を受賞」した。このカテゴリーの審査基準は「総部屋数50室以下で個性があり世界最高レベルのサービスを提供する」ことである。
この受賞は同エリアにある他のホテルにも刺激となったのではないだろうか。そして「ワールド・スキー・アワード」で客観的かつ高評価は、ニセコから日本の他の地域へのスキー場及び関連産業へ波及していくことで新たな観光産業の起爆剤となりうるかもしれない。