実はマジメな医学研究? 「バナナの皮は滑る」でイグ・ノーベル賞の日本人研究者

 人々を笑わせ、考えさせてくれる研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が18日、アメリカのハーバード大で開かれた。

 今年の物理学賞は、バナナの皮の摩擦係数を測定して実際に滑りやすいと証明した北里大の馬渕清資教授のチームが受賞した。日本人のイグ・ノーベル賞受賞は8年連続である。

【バナナの皮はなぜ滑るか】
 馬渕教授は、靴の裏が様々な果物を踏んだ時と、直接リノリウムの床を踏んだ時の摩擦係数を比較研究した。結果、バナナの皮の上を歩いた時の摩擦係数が、通常と比べて6分の1しかないことを明らかにした、とウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は報じている。

 2ミリ厚のリンゴの皮と比較してもバナナの皮の摩擦係数は半分しかないなど、他の果物よりもバナナが滑りやすいことが証明された。

 さらに、バナナの皮の内側は、粘液が詰まった粒がたくさんあり、足で踏むとつぶれて滑る原因になることも発見されたという。

【ノーベル賞を凌ぐ人気】
 ノーベル賞のパロディであるイグ・ノーベル賞は創設24周年を迎え、今や本家を凌ぐ人気である、とBBCは伝えている。

 今年は、保存処理した豚肉が鼻血を抑えるのに効果があるとした研究や、ホッキョクグマに変装した人間を見てトナカイがどう反応するかの実験調査も受賞したという(オーストラリアABC)。

 バカバカしく見えるイグ・ノーベル賞だが、“おふざけ”の裏に真剣さが見られる、とBBCは指摘する。実際、馬渕教授は人工関節の滑らかな動かし方などが専門であり、バナナの皮を滑りやすくする多糖質の粘液は関節皮膜にも応用されている。「この概念は人工膝関節を設計するのに役立つ」と馬渕教授はBBCニュースに語っている。

【相次ぐ日本人受賞者】
 過去何人もの日本人がイグ・ノーベル賞を受賞している、とWSJは伝えている。2011年は、聴覚障害者や眠っている人に火災発生を知らせるために開発された、ワサビを使った火災警報器に化学賞が贈られた。去年は、玉ねぎで泣くメカニズムの研究に化学賞が贈られた。

 イグ・ノーベル賞には毎年9000件ほどの推薦があるが、ただのウケ狙いの研究は大抵受賞しないという。一方、最初は真面目に研究していたことが、実は面白いと後で気づくような研究が受賞する、とBBCは指摘している。

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Text by NewSphere 編集部