カナダの「女体盛り」サービスが物議 企業は日本の伝統と紹介も、女性団体など猛抗議
カナダのバンクーバーで、いわゆる「女体盛り」を提供する寿司のケータリングが物議をかもしている。会社側は日本の伝統として紹介しているが、地元の女性団体がネット上で署名活動を行うなど、批判が高まっている。また衛生面の問題も指摘されている。
【寿司の女体盛り】
『IBTimes』によると、トロントに拠点を置くケータリング会社『Naked Sushi』が上述のサービスを始め、最近バンクーバー地域に紹介された。カナダ、アメリカでファンが増えているという。同社はFacebook上で、「プロフェッショナルなスタッフとモデルが、伝統的な日本の優雅な雰囲気を演出し、あなたのイベントを忘れられないものに」と紹介している。
寿司は必ず箸を使って取ることがルールで、モデルに触ったり話しかけたりすることは禁止されている。わいせつなコメントやジェスチャー、箸でモデルをつつくなども言語同断だ。
同社HPによると、価格は1人あたり20ドル~85ドルとのこと。チーム力強化などを理由に、ビジネス関係の食事にサービスを利用する企業が増えているという(IBTimes)。
【抗議者の見解】
カナダの女性団体は、これについて、女性の体を物として扱い、女性の性的な役割を強調するものとして、同社を非難している。
キャンペーン組織『SumOfUs』は、社会面、健康面での疑問を投げかけ、ネット上での署名活動を始めた。健康を管理する各省庁に問題の会社を閉鎖するよう訴えているという。抗議者のひとりは、「性差別的であるだけでなく、あまりに低俗」とコメントしている。またヴィクトリア大学のJanni Aragon准教授は、サービスが特に女性社員にとって居心地の悪いものである、とのコメントをナショナル・ポスト紙に寄せた。
実際にサービスを体験したナショナル・ポスト紙の記者は、女体盛りは料理の提供の仕方が非効率的で、多くの参加者の空腹を満たすことはできないと指摘する。またモデルと目を合わせるべきか、挨拶するべきか、という気まずい雰囲気で、食べるどころではなかったという。独身パーティーや、どんちゃん騒ぎには適したサービスかもしれないが、社会的発展を侮辱するものであるとの見解を示した。
【衛生指導員の見解】
非難が渦巻く一方、ナショナル・ポスト紙は、市政が神聖な良識を破ったとして問題の会社を閉鎖するようなことがあれば、市内のストリップクラブを閉鎖し、その他わいせつな出版物などもすべて検閲しなければならなくなる、と指摘する。
他人の温かい体の上に乗った生魚を食べるという衛生面での危険も指摘されるが、衛生指導員の管轄ではないという。バンクーバー・コースタル・ヘルス(VCH)のAnna Marie D’Angelo広報担当官は、「料理が用意される場所が検査の対象であり、その料理が個人宅でどのように扱われるかまで調査することはしない」、との立場を明らかにした(Vancouver Sun紙)。
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