米国人の「絵文字の食べ物だけ生活」が話題に “この茶色い武器は…?”(=おでん)

 スマートフォンなどの普及とともに広まっている日本発の絵文字。電子機器で使用される文字コードを世界規模で制定している団体、ユニコードコンソーシアムが今年7月に最新バージョンUnicode 7.0を発表し、250種もの絵文字が追加された。

 かなりの感情が絵文字で表現できるようになってきている一方、食べ物はわずか59種の登録にとどまる。新バージョンで追加されたのは唐辛子のみだった。生活に不可欠な食べ物系の絵文字が少ないうえに、果たしてどれだけ実際の食文化を網羅できているのだろうか…という疑問を検証すべく、ニューヨークのジャーナリストKelsey Rexroatさんが絵文字縛りの1週間食生活にチャレンジした。

【絵文字だけ生活】
 ルールは3つ。まず、1週間で絵文字になっている59種の食べ物、飲み物を全て制覇すること。次に、絵文字に登録されている以外のものは食べない。そして、食事を楽しむため必要に応じて食材は一緒に調理しても良いこと。はたして意味があるのか、それとも無意味なのかすら微妙な今回の挑戦をとおして見えてきた結果に、他のメディアも「自分でやろうとは思わないが、誰かにやってほしかった!」「今までなんとなくモヤモヤしていた点が立証されて気持ちが晴れた!」と食いついている。

【未知の食べ物】
 この挑戦を行うにあたって最も大きな壁となったのが「これまでは気にとめずにスルーしてきた正体不明の食べ物」と向かいあうことだったという。

 例えば、棒が突き刺さった茶色い武器のような物体は日本のソウルフード「おでん」だということ。それとは別に棒が突き刺さったカラフルなボールは米と砂糖などから作られた「お団子」というスウィーツであること。豆料理が添えられたライスプレートはカレー(海外でカレーといえばインドカレーのイメージなのだろう)。恐怖さえも感じた未知の食べ物だったが、実際に知ってみて食べてみると美味しかったと彼女は米オピニオン雑誌The Atlanticへ寄稿している。

 食の開拓以外にも、渦巻き状になったペロペロキャンディには馴染みがあるものの、今どき販売しているお店を探すのが困難であったり、サラダが14ドルもするニューヨーク界隈でおにぎりは破格の1.4ドルで入手できる驚きがあったりと何気にドラマチックな調査となったようだ。

【意外とジャンクな絵文字食生活】
 絵文字縛りの食生活にしてみてRexroatさんが感じたことは、普段の食事よりも魚介とフルーツが多いことだそうだ。この点はとても良かったという。他にも米を使用したもの(8種)やデザート(11種)も多かったという。デザート系の消費には一苦労し、アルコール飲料も意外と多く、日本食に偏っているとはいえ決して健康的ではなかったという。お財布が軽くなった代わりに体重は増えたが、新しい食べ物をいろいろと試すことができて楽しい挑戦だったと満足気だ。

【欧米人が要求する食べ物はこれだ!】
 1週間の挑戦の後、Rexroatさんが必要だと断言するのが「にんにく」「玉ねぎ」「ほうれん草」などの野菜の他、「サンドイッチ」「ポテトチップス」「チーズ」「ポップコーン」だそうだ。この他、彼女の体験レポートを読んだ他の媒体からは、「シリアル」「ベーグル」「ヨーグルト」(エンタメサイトBustle)など朝食の定番品や、アメリカではお馴染みのスナック「タコス」「ホットドッグ」(フード系サイトFoodbeast)、もっと多くの野菜や魚(英Daily Mail)などの要望が次々と挙がっている。

 1999年に日本の携帯電話会社が開発した絵文字は、世界中に広がっていくことを視野に入れておらず、今でも日本らしさが色濃く残っているのだろう。しかし、最近は欧米でもすっかり絵文字が定着しているという。今後はもっと多くの人々にやきもきせずに愛用してもらえるようバリエーション豊かな絵文字が実現されることに期待が寄せられている。今後の新バージョンのリストにおける食べ物リストに注目していきたい。

 ちなみに、ツイッター上で使われている人気絵文字の投稿回数をリアルタイムで可視化するemojitrackerによると、食べ物系で人気が高いのはピザとビールだという。

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Text by NewSphere 編集部