「トランスフォーマー」最新作、中国で空前の大ヒット ハリウッドの中国シフトも鮮明に

 日本公開中のハリウッド映画「トランスフォーマー ロストエイジ」が、中国で爆発的にヒットしている。興行収入は「アバター」を超え、歴代最高記録を更新した。

【1カ月で興収326億円突破 ハリウッドの中国依存鮮明に】
 中国娯楽サイト・電影網によると、「トランスフォーマー ロストエイジ」は「アバター」が持っていた歴代興行収入記録を更新し、6月末の公開から1カ月で約19億7000万元(約326億3000万円)を稼ぎ出した。世界興収の3分の1を占める計算となり、ハリウッドの中国依存を改めて示した。

 「トランスフォーマー」シリーズの4作目。宇宙から来たロボット型の生命体と、人間たちの戦いが壮大なスケールで描かれる。今回は米大手パラマウントと中国企業2社などの米中合作で製作された。主要キャストに中国の人気女優リー・ビンビン(李冰冰)を起用し、後半は香港や中国本土でロケ撮影されている。

【中国市場重視はっきり スポンサーのロゴ続々】
 中国市場を意識したハリウッド映画といえば、昨年公開された「アイアンマン3」が知られている。中国で公開されたバーションでは、中国人女優ファン・ビンビン(范冰冰)の出演シーンを追加。巨大市場へのあからさまな「サービス」が話題となった。

 今回の「トランスフォーマー ロストエイジ」は、中国寄りがさらに鮮明になった。作品には出資した中国企業のロゴ、建物などがひっきりなしに登場する。あるシーンでは敵に追われた登場人物が突然冷蔵庫を開け、スポンサーとみられる中国大手メーカーのパック牛乳を長々と飲む姿が映される。一方で、一部の中国企業が「お金を出したのに自社のロゴが出ない」と公開中止を訴えるケースもあった。

【北京・上海に監督ら駆け付け サインや写真のサービス】
 結果的にふたを開ければ史上最高の大ヒット。新華網によると、6月下旬に北京、上海であった中国プレミアには、主演のマーク・ウォールバーグら俳優陣とマイケル・ベイ監督が駆け付けた。ウォールバーグは「中国が大好き。休暇で訪れたい」と語り、ベイ監督は詰めかけた観客にサインやツーショット撮影のサービス。新華網は「パラマウントの中国重視を証明した」と伝えた。

 中国は12年、日本を抜き米国に次ぐ世界第2位の映画市場となった。香港英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(中国語電子版)によると、中国国家新聞出版広電総局がこのほど発表した14年1~7月の全国映画興行収入は約176億4800万元(約2923億1500万円)。通年では前年比3割増の270億元(約4472億1800万円)に増えるとの予測もある。ハリウッドと中国の蜜月は今後も続きそうだ。

■映画概要
「トランスフォーマー ロストエイジ」(2014年、アメリカ)
監督:マイケル・ベイ
出演:マーク・ウォールバーグ、ニコラ・ペルツ、スタンリー・トゥッチ、ソフィア・マイルズ、ジャック・レイナー

2014年8月8日(金)より、全国順次公開。

公式サイト


作品写真:(C)2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

Text by NewSphere 編集部