田中投手の“度胸”をチームメイト絶賛 初打席でホームラン打たれるも、初勝利

 ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手が、4月4日(日本時間5日)のトロント・ブルージェイズ戦に先発し、メジャー初勝利をあげた。大型契約で注目を浴びていただけに、米メディアもその勝利を大きく報じた。

【過熱した報道に驚き】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、日本の「エース兼ロックスター」の登場を捉えようと、ブルージェイズの本拠地ロジャース・センターに、試合開始数時間前から数百人のメディアが集結したと伝えた。ヤンキーズのジラルティ監督も、ストレッチの時間からフィールドがこれだけの人で埋まるのは初めてだ、とコメントしたという。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、日本での関心の高さを報じた。ヤンキーズのクラブハウスの外にはカメラが密集していたが、ほとんどが日本のテレビ局のものだったという。球場には、元メジャー・リーガーの田口壮氏、田中投手の妻まい夫人、コメディアンの石橋貴明氏など有名人の姿もあったと紹介された。

【初登板は好評価】
 田中投手は、試合開始直後、先頭打者のカブレラにホームランを打たれ、ファンを心配させた。しかしそこから立て直し、7回を投げ6安打、与四球0の3失点(自責点2)。8奪三振も記録し、初勝利を挙げた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、田中投手のコメントを紹介。ホームランを打たれた理由として、「注目、期待、プレッシャーが本来の度胸と力を奪ってしまった」とし、「緊張で最初はマウンドに立ってからも集中できなかった」という。

 ジラルディ監督は、田中投手は「感情をよくコントロールし、数イニングを終えて自分を取り戻した」と述べ、「たくさんの観衆と熱狂の中で、序盤にミスを修正した。成熟した投手の証拠だ」と高く評価した。

 チームメイトのテシェイラ選手は「彼は素晴らしい投球でハートと決意を見せてくれた。初めてのメジャーの打者にホームランを打たれて、全く慌てなかったのはすごい」とコメントした。

【長期大型契約に疑問符】
 一方、ニューヨーク・デイリー・ニュースのマイク・ルピカ氏は、田中人気が盛り上がるなか、米球界に警鐘を鳴らす。

 同氏は、7年で1億5500万ドル(約161億円)という田中投手の契約をはじめとする、長期大型契約に疑問を投げかける。「球団は大金を使ってスター選手を獲得し、ファンを熱狂させるが、選手や契約が最後どうなるかなど、考えもしない。鳴物入りで入団し、故障や不振で途中から使えなくなる選手がいるのが現実なのに、オーナーたちは今チームがどう見えるかばかりを気にする」

 田中のような大金を使った選手でも、「20代でフィールドに定着できなければ、30代後半になれば道を下っていくだけだ」とルピカ氏は述べ、「今勝つこと」しか頭にない、長期大型契約の危険性を指摘している。

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Text by NewSphere 編集部