ヤンキース田中が直面する言語の壁…しかし捕手はすでに日本語を勉強中

 各国からの外国人選手が増えるメジャーリーグでは、言葉の壁をどう乗り越えるのかが課題となっている。海外メディアはヤンキースに入団した田中投手を取り上げて、選手間のコミュニケーションに着目した。

【外国人選手による語学習得の課題】
 情報サイト『FANSIDED』によると、現在ヤンキース投手陣で英語を母国語とするのはC.C.サバシア投手ひとりだけ。日本人の田中投手、黒田投手の他、ドミニカ共和国出身でスペイン語が母国語のイバン・ノバ投手とマイケル・ピネダ投手がいる。チームにとって言葉の壁は、避けては通れない課題となっている。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、今週ヤンキースのキャンプでは日本人選手4人に英語学習キットが渡された。また、基本的な日本語の習得に意欲を示したブライアン・マッキャン捕手とフランシスコ・セルベーリ捕手には、日本語学習キットが渡されたという。

 円滑なコミュニケーションはチームスポーツには欠かせない要素だが、語学習得は選手にとって技術を磨くのと同じくらい困難だという。ほとんどの日本人選手は通訳を連れているが、「マウンドに通訳は連れて行けないので、自分のメッセージを伝える術を習得しなければ」とセルベーリ捕手はニューヨーク・タイムズ紙に語った。

【スペイン語圏の選手の場合】
 米日刊紙Newsdayでは、スペイン語圏の選手についての話題を取り上げた。日本人選手にはほとんどの場合通訳がつくのに対して、スペイン語圏の選手の場合、通訳としての役割はスペイン語を話せるコーチやチームメイトに託されがちであるという。

 ヤンキースのカルロス・ベルトラン外野手は、そういった役割を重荷に感じる選手がいることを指摘する。「試合中や試合の外でなにか起きたときに助けてくれ、メディアに対応してくれる人が近くにいることが重要」だと話す。言葉が話せるからといってコーチやチームメイトにこなせる役割ではない、と通訳の必要性を訴えている。

【語学習得に対する各選手の姿勢】
 ニューヨーク・タイムズ紙では、最近田中投手が6種類の配球を英語のリストにしたことを報じている。『FANSIDED』は、コーチやチームメイトとのコミュニケーションに役立つだろう、と評価した。トレーニング後にはレポーターに「Finished」(終わった)と声をかけたという。

 マッキャン捕手は、遠征中の滞在先でキットを利用して日本語を勉強するつもりだと話す。「投手に話しかける言葉を学ぶことは大切」とする姿勢に、田中投手も喜びを述べた。「自分のことを考えてくれていることが嬉しい。捕手との意思疎通は重要だ」と話す。

 ベネズエラ出身でスペイン語を話すセルベーリ捕手は、アメリカ人女性との交際を通じて楽しく英語を学んだ経験をニューヨーク・タイムズに語っている。すでにいくつかの日本語を覚えたという。同紙インタビュー終了後、日本語で「ありがとう」と締めくくった。

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Text by NewSphere 編集部