脱落率50%…悪路制した狩野選手に海外メディア注目[ソチパラリンピック]
3月7日から16日まで、ロシア・ソチで、冬季パラリンピック第11回大会が開催されている。パラリンピックでの日本選手の活躍について、海外メディアはどのように報じているのだろうか。
【海外が注目している日本人選手】
アルペンスキー男子滑降座位で狩野亮選手が金メダルを獲得した。カナダのジョシュ・デュエック選手が銀メダル(1位と0.39秒差)、鈴木猛史選手は銅メダル(0.95秒差)だった。27歳の狩野選手は、2010年バンクーバーパラリンピックのスーパー大回転座位で優勝しており、2大会連続の金メダルとなった。
『Rスポーツ』は、「とても大変だった。数か所、とても危険なセクションがあり、たくさんの選手が転倒した」「滑り始めた時、バランスがあまり良くないと一瞬感じたが、その後は全てがかなり順調に進んだ」という狩野選手のコメントも紹介している。
さらに、狩野選手は9日、スーパー大回転座位で2個目の金メダルを獲得。森井大輝選手は銀メダルを獲得した。ノーボスチ通信によれば、この種目では重傷を負う選手はいなかったものの、多くの選手が転倒し、28名の選手のうち14名のみがゴールができた。
【東日本大震災で被災した選手にも注目】
東日本大震災で被災した選手について報道する海外メディアもある。ザ・ウエスト・オーストラリアン紙は、クロスカントリースキーとバイアスロンに出場する阿部友里香選手(18)について大きく取り上げている。
阿部選手は岩手県山田町の漁村出身であるが、山田町では東日本大震災で800人を超える人々が亡くなり、阿部選手の家を含め数千軒の家々が壊滅状態になった。阿部選手は腕に障害があり、2011年に起こった東日本大震災では、自宅が津波で壊滅的な被害にあったが、ソチオリンピックで戦うため、大きな困難を乗り越えてきた。彼女は東日本大震災で被災した仲間たちの希望を運んでいる、と同メディアは報じている。
阿部選手は8日に行われたバイアスロンでは13位であった。
「皆さんが私を応援してくれていると感じるので、(パラリンピックでは)故郷の皆さんが元気になるような滑りをしたいです」と、2月初めに阿部選手の故郷、岩手で行われた壮行会で語った。阿部選手の高校の校長は、「私たちは震災に負けていないのだということを阿部選手が見せてくれることを望んでいる。」と述べ、阿部選手を称賛した。
同メディアは、阿部選手の努力は、日本のトップアスリートたちが被災者を励まし、彼らの苦闘によって鼓舞したように、震災で被害を受けた地域の再生において、スポーツが果たす計り知れない役割を新たに示した例である、と報じている。
阿部選手は日本人パラリンピック選手20人の中で唯一の被災者である。同メディアは阿部選手の、「私はトップ8に入るつもりです」「今後はもっともっと上を目指したい。4年後のパラリンピック、8年後のパラリンピックにも出場したいと思っています」とのコメントも紹介している。
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