カオスなスペインの「コスプレ大会」 進撃の巨人からディズニーキャラまで登場(コラム)

 2月8~9日、スペインのマドリッドで「Japan Chibi Weekend」が開催された。近年、スペインでの日本アニメやマンガの人気は高まっており、実際に放映されているアニメや翻訳されているマンガが増加している。

【手作り感漂うコスプレイベントの背景】
 コミックス情報サイト『BLEEDING COOL』によると、「Japan Chibi Weekend」は、アニメやマンガなど、日本の文化に焦点をあてたイベントであり、毎年2月にマドリッドで開催されているという。マドリッド、バルセロナ、バレンシア、グラナダなどの都市で毎年行われている「Japan Weekend」のミニ版らしく、「Chibi(ちび)」の名もそこに由来していると推測される。

 イベントの目玉の「コスプレ大会」では、スペイン人コスプレーヤーたちが次々と登場し、カラオケやかくし芸を披露。会場は大いにわいたようだ。一部の楽しみとして限定されがちなコスプレだが、スペインでは親しみやすいイベントとして成功している模様だ。

【スペインコスプレの傾向は?】
 もともとコスプレとは、オタクたちに好まれるアニメやゲームのキャラクター、またはビジュアル系バンドなどの衣装やスタイルを真似ることである。しかし、最近は拡大解釈されるようになり、あらゆるコスチュームが認められ、そのキャラクターになりきることを意味するようにもなってきている。

 カラオケもかくし芸も、「なりきり」が必要な点で共通しているので、「コスプレ」と呼べないことはない。しかし、「進撃の巨人」、「黒子のバスケ」、「ヘタリア」などの有名キャラクターに混じって、アリスや人魚姫などディズニーキャラの扮装によるドラマ仕立ての隠し芸には、さすがに「これってコスプレ?」との疑問もわいてくる。

【コスプレ先進国のフランスや台湾との違いは?】
 コスプレ文化で先んじているフランスでは、コスプレ-ヤーの扮装は、原作アニメやマンガにかなり忠実である。

 また、台湾も日本との距離感が近いことも関係しているのか、日本における「コミケ」と大差を感じさせないコスプレぶりが話題となっている。

 他のコスプレ先進国に比べると、スペインではまだオタク度が低めのようだが、このイベントが毎年開催され続けていること、参加者が増え続けていること、会場が年を追うごとに広くなっているという事実から、現地で人気イベントとして定着しているのは確かなようだ。

 どんな形であれ、日本文化の一部を楽しんでいる国がそこにもある、それだけで遠い国との距離が近づいたような気がする。イベントが盛り上がっている様子には、純粋にうれしさを感じる。

「Japan Chibi Weekend」に対しては、もっとオタク化を進めてほしいような、独自路線で手作り感覚を大切にしてほしいような、複雑な感想を持った。イベントが今後どちらへ進んでいくか、動向が気になるところだ。

NHK「COOL JAPAN」 かっこいいニッポン再発見

Text by NewSphere 編集部