レッチリがスーパーボウルでエア演奏 “敢えてアンプに繋げなかった”釈明の意図とは?

 今週、レッド・ホット・チリペッパーズは渦中にある。スーパーボールのハーフタイムショーで、彼らの楽器がプラグインされていなかったことが発覚したのだ。メインゲストであるブルーノ・マーズと共演した”Give It Away”の演奏中に、フリーのベースはアンプに繋がっていなかった。

 火曜日の夜、フリーはバンドのブログ上で釈明文を発表した。

【なぜエア演奏をしたのか】
 タイムズ紙によると、NFLは音響問題が発生する事を嫌い、楽器の生演奏を避けようとした。彼らはレッチリにギター、ベース、ドラムを事前録音し、生のボーカルに合わせて流すように指示した。レッチリはエア演奏をしないバンドだ。80年代の後半、それが理由で、イギリスの番組から追い出されたことがある。

 NFLから依頼があった際、彼らは迷ったが、長い議論と相談の末に「俺たちはフットボールが大好きだ」という事実を受け入れた。そして、スーパーボールのハーフタイムショーでエア演奏をする事を決意した。

「コードをつないで、演奏が事前に録音されたことをばれないようにすることもできた」とフリーは語った。「そうしたら何の問題にもならなかっただろう。でも、演奏をしているフリをしない方がいいと思った。」

「大勢の人々の前でミュージックビデオを作るようなものだ。ボーカルは生だけどね。しかも彼らをロックさせるチャンスは一度しかない。俺たちの精神を届けたかった。」

【エア演奏はロックか?】
 レッチリのエア演奏に関し海外でも議論が沸騰している。ローリングストーン紙には次の様なコメントが寄せられており批判する人もいる。

「レッチリはNFLのお偉いさんの言いなりになった」
「真のバンドだったら、堂々と、ロックンロールに対する信念をもって立ち去る。」

 他方、彼らの演奏を評価する声もある。

「彼らは素晴らしい演奏をした。音楽はコンサートの一部にしか過ぎない。ステージの雰囲気、聴衆、そしてパフォーマンスが良いショーを作るのだ。」
 
他にも、

「何十年も、ポップスター達(ブリトニー・スピアーズ等)は、ライブコンサートという建前で、事前録音された音楽に載せて口パク演奏をしている」

という現実的な指摘もある。

「レッチリは、スタジアムの観客以外は、無料で観戦できるフットボールの試合のために、3分間の事前録音演奏をしただけだ。」

 日本でも、フジテレビが音楽番組で生歌・生演奏にこだわることを宣言した。批判が高まる口パク演奏だが、「エンターテイメントとして成立していれば許されるのでは」という見方もある。

グレイテスト・ヒッツ・ビデオ [DVD](レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)

Text by NewSphere 編集部