“ベトナムの英雄”効果でJリーグに「提携国枠」導入 その背景、狙いとは

 11月19日、Jリーグは「J1・J2における外国籍選手枠の変更について」と題して、Jリーグ提携国枠(仮称)の導入を決定した。提携国はベトナム、タイ、ミャンマー、カンボジア、シンガポール。初のベトナム人Jリーガーとなったレ・コン・ビンの活躍と注目度の高さが、導入決定のきっかけのひとつになった。

【ベトナム人枠新設、その背景】
 ベトナムのニュースサイト「tuoitrenews」は、来シーズンからJリーグに「ベトナム人枠」が導入されると伝えた。大東和美Jリーグチェアマンは、導入の背景としてJリーグ初のベトナム人選手(J2のコンサドーレ札幌所属)となった“ベトナムの英雄”ことコン・ビンの効果が大きいとしている。

 以下は「tuoitrenews」で紹介された、コン・ビンやベトナムに対する大東チェアマンのコメント。

「まだ得点王争いをする段階までいっていませんが、コン・ビンは日本のメディアで興味深い現象を起こしました。テレビや新聞のスポーツ欄でも露出が段々、増えています。彼の熱意、熱心に練習に取り組む姿勢、勝利への渇望がそうさせたといえます」

「東日本大震災で失意に陥った日本人を助けるため、多くのベトナム人が密かに献金していただいたことを我々は知っています。日本人はコン・ビンを応援することで、感謝を示しているのです」

【提携国枠導入、狙い】
「tuoitrenews」はベトナムメディアであるため「ベトナム人枠」と伝えているが、Jリーグによると正しくは「Jリーグ提携国枠」であり、提携国とはベトナムの他、タイ、ミャンマー、カンボジア、シンガポールを指す。

 J1、J2のクラブは提携国枠の選手を2名まで登録が可能となり、試合では提携国枠の選手を1名までエントリー可能とのこと。

 また、提携国枠導入の狙いは、2012年から進めている「アジア戦略」の一環で、「Jリーグ、Jクラブのアジア向け成長戦略の推進支援」としている。

【導入狙うチームの動き】
 Jリーグではないが、JFLに所属するFC琉球にはマレーシア代表選手と元マレーシア五輪代表選手が所属している。マレーシアやベトナムに限らず、タイなどの提携国にも有望な選手がいるといわれている。コンサドーレ札幌のコン・ビンの活躍を機に、提携国枠選手獲得の機運は高まっている。

Text by NewSphere 編集部