田中将大投手のメジャ-移籍に暗雲 金持ち球団と貧乏球団の対立が原因?海外紙が指摘
今季防御率1.27、WHIP(走者を出さない数値)0.943、212イニングで183奪三振、24勝0敗という成績を挙げた楽天の田中将大投手に、米大リーグ(MLB)の多数の球団が熱視線を送っている。しかし交渉権をめぐるポスティング制度改正案がまとまらず、来年までに移籍が間に合うのか、危ぶまれる状況になっている。
田中投手はまだFA資格(9シーズンの選手登録が必要)を得ていない。
【金持ち球団と貧乏球団の対立】
旧制度の期限切れに伴ってMLBが提示していた改正案は、最高入札額を示した球団が、上位2入札の平均額をもって交渉するというものであった。日本野球機構(NPB)の選手会はこれを承認、NPBリーグも承認の見込みであった。
しかし、MLBのロブ・マンフレッドCOO(最高執行責任者)に言わせると、決断が遅過ぎた。その間に「風向きが変わって」しまったのだ。同氏は新制度案を取り下げ、NPBに修正案を提出することを発表した。
14日(日本時間15日早朝)、MLBのGM会議において、ピッツバーグ・パイレーツのフランク・クーネリー社長が、入札料を奢侈税(総選手年俸が一定額以上の球団はこれを支払わなければならない)の算出に含めるべきだと発言。これに対し、田中投手の獲得に大金を注ぎ込むと目されており、奢侈税が気になる水準でもあるニューヨーク・ヤンキースのランディ・レビン社長が、それならばキューバ選手の獲得においても同様であるべきだ、などと反論したという。結局、合意はまとまらなかった。
各紙はこの論争が、資金力のある球団が入札で有利になるのを、そうでない球団が妨げようとしている構図だと指摘している。
ボストン・グローブ紙が取材した「著名エージェント」は、最高入札者が上位2入札の平均しか払わなくて良いというシステムや、MLB自ら発案したはずのシステムに今内部から不満が出ていることを「馬鹿げている」と評し、NPBはそんなものに付き合う必要はないと一蹴した。
またMLB選手会も、年俸抑制につながるとして反対しているという。
【田中抜きでも年俸水準高騰】
米スポーツ関連サイト「ブリーチャー・レポート」は、田中投手が交渉不能となった場合、それよりも劣るFA・トレード選手たちの交渉額相場が上がると予想している。市場は「需要と供給によって導かれる」からだ。
同サイトは、田中投手に代わるお買い得MLB投手として、デビッド・プライス投手(タンパベイ・レイズ)やマックス・シャーザー投手(デトロイト・タイガース)の名を挙げている。また、投手の年俸相場自体が近年暴騰傾向にあるため、これを諦め、攻撃力の増強に賭ける球団も出るだろうと予測している。