日本の「おもてなし」を体感するチャンス?海外メディアが東京国際映画祭を激推し

 第26回東京国際映画祭(TIFF)が17日、開幕した。東京・六本木をメイン会場に、25日まで9日間開かれる。初日には、ソマリア沖海賊事件を題材にしたポール・グリーングラス監督、トム・ハンクス主演の「キャプテン・フィリップス」、最終日には、三谷幸喜監督の「清須会議」が上映される予定だ。

 そのほかソフィア・コッポラ監督の「ブリングリング」、スティーブン・ソダーバーグ監督による、米国人気ピアニスト、リベラーチェの伝記映画なども上映される。

 今年の映画祭への応募は1400作を超え、その中から選ばれた約140作品が劇場で上映される。受賞者は最終日25日に発表され、最高賞の「東京サクラグランプリ」は賞金5万ドル(約500万円)だ。

【若手監督に焦点を当てた映画祭】
 TIFFはいまや、アジアで有数の映画祭として、権威を確立している、とハリウッド・レポート誌が報じている。同映画祭は世界中で映画祭が催される中で、特に新人の映画監督たちによる作品を扱い、そのカラーをより鮮明にしようとしているという。

 また、AFP通信は1985年の初開催以来、才能ある若手監督の登竜門となっている、と報じている。過去の受賞者には、2006年にカンヌで監督賞を受賞したメキシコのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ氏 、2012年にアカデミー賞を受賞した、フランスのミシェル・アザナヴィシウス氏などがいる。

 審査員長のチェン・カイコー映画監督は、映画祭の開催にあたり「良い映画を作るには、才能が必要だと誰でもわかっています。才能なしには、何も出来ません。」「しかし、私が時々感じるのは・・・映画作りというのは、そこに才能より重要な何かがあるということです。それは、この世界を捉える個性的な視点です。」とのメッセージを寄せている。そして、個性的な世界観は、若い映画監督の初期作品にのみ現れ、映画祭で新米監督たちの作品に焦点を当てるのはそのためだと話している。

 映画祭は、日本で上映予定のない海外の注目作の紹介と、日本の自主制作作品の映画業界への売り込みも目的としているという。

【東京で、お・も・て・な・し】
 ハリウッド・レポート誌は、映画祭が開催される東京は、規則正しく時間通りに物事が進み、非常に治安のいい都市だと褒め、映画と同時に日本文化を楽しむことも勧めている。

 東京は、ロンドン、パリ、ニューヨークを合わせた以上に、ミシュランで星を獲得した店が多い。しかし、高級店に行かずとも、美味しい料理を楽しめるのが東京の素晴らしさだ、と同誌は紹介している。東京には16万の飲食店があるが、どの店を選んでもまずい料理に出くわすことが難しいほどだという。

 また、2020年オリンピック招致で有名になった滝川クリステルオリンピック大使の言葉が流行語になったことを取り上げ、日本で受けられる一流のサービスは、流行り廃りとは関係ない文化だとしている。

 例えば、タクシーの運転手やレストランのウェイターは、しばしばチップを断る。店員たちは、客の欲しい商品が提供できないとき、(客のほうが間違った店を選んだとしても)頭を下げ丁寧に詫びる。客への対応が別次元なくらいにすばらしいと、日本人が恥ずかしくなるほど大絶賛している。

Text by NewSphere 編集部