4年連続1位だった日本の「競争力」、なぜ低下し続けるのか? IMD世界ランキング

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◆中小企業に求められる国際展開力
 中小企業の効率性についても話は及び、日本では大企業と中小企業の生産性の差が大きく、中小企業は大企業の40%にも満たないことが多いという。この差が日本の競争力を低下させているとブリス氏は論じる。

 その原因として、日本は海外とのビジネスを構築するノウハウに乏しく、これも国際的な競争力に欠ける一因になっているという。ブリス氏は例として、オランダが中国やロシアを上回り、世界一のエビの輸出国になっていると述べる。タイやフィリピンからエビを輸入し、加工・冷凍して出荷することで、原価の10倍の値付けを実現している、と例示し、国際ビジネスを展開する重要性を強調した。

 海外との関連では、外国人労働者の登用不足も競争力低下につながるという。IMDのウェブマガジン『I by IMD』でブリス氏は、「日本は外国人材を引きつけるものがなく、国内の労働市場も硬直している」と指摘する。さらに同記事は、「日本の企業は、従業員のスキルアップや再教育に投資することが少ない」とも述べる。

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 一方でブリス氏は、日本が2022年に「持続可能な貿易指数」で30ヶ国中4位になったことを挙げ、「日本のロジスティクスは優れており、効率的であると評価されている」「強力な製造業を持つ国にとって、これは心強いことである」と評価している。

 少子高齢化社会が迫る日本において、こうした優良な分野を基軸とした政策転換など、データに基づく舵取りが求められる。

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Text by 青葉やまと