高速鉄道「不毛の地」アメリカに変化? 新プロジェクト着工 新幹線へ注目も
◆資金不足と地理的な特性が障壁に
アメリカの高速鉄道プロジェクトは、これまで他国と比較して投資額が少ないことが障壁となってきた。中国やヨーロッパでは政府の大規模な投資により高速鉄道が発展しているが、アメリカでは政治的および財政的な支援環境が整っておらず、実現が遅れている。
アムトラックのスティーブン・ガードナーCEOは、フォーチュン誌の取材に応じ、「高速鉄道の建設に、技術的な障壁はありません。しかし、必要なのは投資を行うための政治的・財政的な調整なのです」と述べた。自動車および航空業界からのロビー活動により、高速鉄道への投資は妨げられてきた、とも同誌は指摘する。
高速鉄道の敷設が遅れているもう一つの理由は、地理的な要因と人口密度の観点から説明できる。アメリカは非常に広大な国土に人口が分散しており、都市間の距離が長いため、高速鉄道の効果が限定的だ。
たとえばヒューストンからボストンは、世界最速の時速460キロの列車が仮に走ったとしても、移動に6時間半を要する。そのため、列車移動よりも航空路線が重視される傾向が続いてきた。だが近年、インフラ投資法案への署名に加え、航空機のカーボンフットプリントの大きさが問題視されるようになったことで、電力で走る高速列車への注目が高まっている。