中国・東南アジア結ぶ3000キロ鉄道計画、現在の状況は 各国の思惑、直面する課題
◆借金漬け外交への危機意識
こうした収益面での憂慮事項に加え、「債務のわな」が各国を悩ませる。中国から借り受けたプロジェクト資金の返済に行き詰まれば、見返りに重要インフラの長期無償貸与を迫られるなど、国益を損ねかねない。
一例として、ベトナムの隣国であるラオスは、中国からの融資により高速鉄道を導入している。同プロジェクトへの融資は、何年にもわたる負債を背負うおそれがあると警告するエコノミストたちを振り切って実施された、とロイターは伝える。
ベトナムは現在、日本など諸外国を頼る姿勢をみせている。NNAアジア経済ニュースによると、ベトナムのホー・ドク・フォック財務相は、2027年の着工を目指す南北高速鉄道の総事業費(約9兆8300億円)の約30%を、ベトナム国外から調達する方針を示した。
フォック氏は、「同時に(現地に派遣される鉄道の)専門家を支援し、日本のODA資金の効率性を向上させていく」と述べ、日本企業の技術支援を受けながら、効率的に事業を進めるシナリオが念頭にあることを示唆したという。
採算性の問題が指摘されるプロジェクトに際し、日本は難しい采配を迫られている。同記事は「日本が支援に消極的な姿勢を続ければ、中国の関与が強まりかね」ないと述べつつ、一方、日本単独での支援は財政的に困難であるとの見方を示している。
中国から東南アジアへ延びる高速鉄道をめぐり、各国の思惑が渦巻く。
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