中国・東南アジア結ぶ3000キロ鉄道計画、現在の状況は 各国の思惑、直面する課題
◆課題に直面する建設計画
だが、計画は複数の問題を抱えている。中国-タイ路線は、建設の遅れが深刻化した。バンコクからラオス国境のノーンカーイに至る873キロの鉄道網は、2014年の計画開始以来、タイの官僚主義に阻まれている。ルートの選定と資金調達は順調とは言い難かった。
2017年になると建設にこぎ着けたが、米ディプロマット誌は今年1月、約6年が経つ現在でも完成度は15%程度に過ぎないと報じている。タイのスレッタ・タビシン首相はまた、タイの路線とラオスの路線に互換性の問題があると認めた。
採算性も大きな課題だ。ベトナム政府は全体で、1545キロの高速鉄道システムの建設を計画していると、ロイターが報じている。その建設費は最大で720億ドル(約11兆円)に達し、国内総生産の17%に相当する。
だが、ベトナム北部の首都・ハノイと南部最大の経済都市・ホーチミンを結ぶ路線について、日本政府や企業関係者からは、巨額投資を回収する見込みが立たないと懸念する声が上がっている。観光地である中部・ダナン市などを除き、大都市が存在しないためだ。
共同通信グループのNNAアジア経済ニュースは、日本の円借款で整備されたホーチミン都市鉄道1号線も、当初の開通予定から大幅に遅れ、「膨れ上がった工事費を回収できる見込みが立たない」との意見が出ていると報じている。