負債130兆円、各地に「幽霊駅」…5万キロ迫る中国の高速鉄道網

完成後14年間使われていなかった亦荘駅。昨年10月に正式開業|N509FZ / Wikimedia Commons

◆地方都市にひしめく12の高速鉄道駅
 中国の高速鉄道事業が抱える構造的な問題について、WSJは中国西部の農村地域である四川省富順県を例に、必要性の薄いインフラ投資だったと指摘する。同県の人口70万人の地方では、半径約60キロ圏内に12の高速鉄道駅が存在する。同紙は「1000人収容の待合室にわずか20人程度しかおらず、1日当たりの利用者数は約9000人と、上海-杭州線の約10万人と比べて極めて少ない」と指摘する。

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 値上げもアダとなった。NYTによると、運賃値上げをめぐり中国のSNS上では否定的な反応が相次いでいるという。同紙は「給与が伸び悩むなかでの値上げに不満の声が上がっている」と伝えており、ある利用者は「物価は上がっているのに、給与だけが上がらない」と運賃の値上げに拒否感を示している。対策として中国国家鉄路集団は、ピーク時に運賃を値上げする一方、オフピーク時の割引を拡大する方針を示している。

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Text by 青葉やまと