負債130兆円、各地に「幽霊駅」…5万キロ迫る中国の高速鉄道網

完成後14年間使われていなかった亦荘駅。昨年10月に正式開業|N509FZ / Wikimedia Commons

◆債務額はメキシコ政府債務に相当
 だが、計画には黄信号が灯っており、高速鉄道事業の債務が深刻な状況に陥っている。事業を統括するのは国営企業の中国国家鉄路集団だが、同社が抱える債務総額は2023年末時点で6兆1282億元(約130兆円)に達する。メキシコ政府の債務に匹敵する規模だ。中国国家鉄路集団は2023年に33億元(約700億円)の営業利益を計上したものの、債務返済に十分な水準には程遠い。

北京の中国国家鉄路集団本社|N509FZ / Wikimedia Commons

 WSJによると、同社の債務返済負担は年ベースで25億ドルに及ぶ。同紙は、「中国政府はインフラ投資による成長を重視してきたが、すでに必要な施設はほぼ整備を終えている」と指摘し、大規模な鉄道計画の必要性に疑問符をつけた。さらに記事は、「今後30年間で中国の人口は約2億人減少すると予測されており、乗客数の増加は特に困難な課題となる」との見方を示している。

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Text by 青葉やまと