負債130兆円、各地に「幽霊駅」…5万キロ迫る中国の高速鉄道網

完成後14年間使われていなかった亦荘駅。昨年10月に正式開業|N509FZ / Wikimedia Commons

 中国で進む高速鉄道計画をめぐり、複数の課題が顕在化している。巨額債務と「ゴースト駅」の問題、そして値上げによる利用者の否定的な反応だ。全土に張り巡らせた4.8万キロの路線は日本の新幹線の15倍に及ぶが、地方路線では需要が見込めず、使用停止または未使用のまま放置された「ゴースト駅」は20ヶ所以上とされる。習近平政権は2025年末までに5万キロへの拡大を目指すものの、人口減少や地方財政の悪化でインフラ投資の見直しを迫られている。

◆米紙「史上最大級の公共事業」
 中国の高速鉄道網は、まもなく4万8000キロを超える見通しだ。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は昨年11月、「中国政府は過去5年間で5000億ドルを超える投資を行い、高速鉄道は中国の技術力を象徴する巨大公共事業となっている」と述べている。同紙は巨大な規模を「歴史上最大級の公共事業の一つ」と表現する。
 
 シンガポールのテレビ局CNAによると、中国政府は2035年までに鉄道網を20万キロまで拡大する計画だ。うち7万キロを高速鉄道が占めるという。現在運行中の「復興号」と呼ばれる高速列車は時速350キロで走行し、世界最速の水準を誇る。さらに2024年には時速400キロまで速度を引き上げる計画だ。

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Text by 青葉やまと