日本のビッグマックは高い?安い? ハンバーガーで考える世界経済
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難しい経済の状況も、身近なもので例えると途端に分かりやすくなることがある。そんな指標の一つが「ビッグマック指数」だ。各国のマクドナルドが販売するハンバーガー「ビッグマック」の値段を比較することで、適切な為替水準が見えてくるという。
◆ハンバーガーで知る適正為替レート
ビッグマック指数(ビッグマック購買力平価や、ハンバーガーPPPとも呼ばれる)は、イギリスの経済週刊誌エコノミスト誌が1986年に考案した。各国の通貨間で、適正な為替レートを考慮するための指標として用いられている。
この指数は、物やサービスの価格水準が国をまたいでも同水準になるはずであるという「購買力平価理論」に基づいている。同一商品の価格が国際的に均衡するよう、為替レートは長期的に収束するという考え方だ。
例として、ビッグマックがアメリカで5ドル、日本で500円で売られている状況を考えてみる。同じ商品は同じ値段になるはずで、この場合、理論上の為替レートは、1ドル=100円となる。このとき、市場の実際の為替レートが1ドル=140円だった場合、「日本のビッグマックは安すぎる(円が過小評価されている)」と判断できる。
当然、ビッグマックという単一の商品を基準にしており、あらゆる商品の価格を考慮した厳密な指標ではない。開発元のエコノミスト誌は、「通貨の差異を正確に測定する目的で作られたものではなく、為替レート理論をより理解しやすく説明するための簡易的なツールとして開発された」と説明している。
もっとも、この指標は現在、多くの経済学の教科書に登場し、数多くの学術研究でも取り上げられている。国際的な統計データを取り上げるウェブサイト『ワールド・ポピュレーション・レビュー』は、ビッグマック指数が当初は「風変わりなアプローチ」として始まったものの、「現在では、各国の経済状況、通貨の強さ、消費者の購買力を測る実用的な指標として役立っている」と解説している。