アフリカ最大のダンゴテ製油所、ナイジェリアにとってゲームチェンジャーとなるか
◆ゲームチェンジャーとなるか
建設コスト190億ドルの製油所は、フル稼働によって国内のみならず輸出も行い、年間210億ドルの収益をもたらすとされている。アフリカ最大の経済大国であるナイジェリアは世界でも有数の原油産出国だが、これまで石油製品の輸入に依存してきた。そのため外貨不足によって、国内で燃料不足に陥るという課題があった。だからこそ大規模な製油所の稼働には期待がかかる。
また石油製品の国内生産が可能になることによって、ほかの産業への波及効果も期待される。たとえばディーゼルなどの燃料を必要とするメーカーにとっては、生産コストが下がることによってグローバル市場における競争優位性を高めることができる。また交通、住居、通信など、製油所の建設によってほかのインフラ業界が活性化すること、そして新たな雇用と起業を促すことも期待されている。
一方で課題もある。気候変動対策の一環としての脱石油の流れとは逆行する。2021年の国連気候変動会議(COP26)にて、昨年5月まで大統領を務めたモハメド・ブハリは2060年までにナイジェリアでネットゼロを実現すると公言している。製油所はこのゴール達成をより難しくする要素の一つともなりうる。さらに、原油不足の課題もあるとアルジャジーラは指摘する。同国では原油泥棒やパイプラインの破壊行為、投資不足などが原因で、原油の産出量が減少を続けているという。安定した原油の供給がなければ、製油所が安定的にフル稼働しないというリスクにつながる。
しかしながら全体的には、長らく燃料の輸入に依存してきたナイジェリアにとって、ダンゴテ製油所の稼働は一つのゲームチェンジャーになるというポジティブな見方が多いようだ。製油所の長期的な成功によるナイジェリア経済の新たな発展に期待したい。
- 1
- 2