欧州はもう中国製EVに抗することはできない? 調査開始、関税検討も
欧州連合(EU)の行政機関、欧州委員会は10月、中国の電気自動車(EV)輸入に対する調査を始めたと発表した。国からの巨額の補助金で価格を抑えている中国製EVは、EU市場で急速にシェアを拡大。中国経済の低迷で、生産過剰となったEVはさらに欧州に流入すると見られており、EUの悩みの種となっている。
◆ソーラーパネルの二の舞か? 中国EVは海外販路強化
英エコノミスト誌の調査部門、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)によれば、ベルギー、フランス、ドイツ、スペイン、スロベニアは、すでに中国のEVの主要輸出先となっている。EUは中国の急速なシェア拡大に懸念を深めており、これは過去10年間に中国国内のEVセクターに国からの多額の補助金がつぎ込まれたことと深く関係している。
米政治専門サイト『ポリティコ』によれば、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、EVに関して中国には明らかな過剰生産能力があり、これが確実に輸出に向かうと指摘。中国経済が減速し内需が上向かなくなれば、状況はさらに悪化するとしている。ロイターによれば、同委員長は、中国製との価格競争に負けて衰退したソーラーパネル産業の経験を繰り返したくないとしている。
実際に中国のEVメーカーは、国内での競争激化と成長の鈍化により、海外での販路拡大を強化しているという。欧州委員会によれば、欧州で販売されるEVに占める中国車の割合は現在8%で、2025年には15%に達する可能性がある。
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