復活するレコード 世界各地で伸び続ける売上高 最新アルバムが貢献
音楽のデジタルストリーミングが主流となるなか、近年、世界各地でレコードの売上高が伸びている。イギリスでは2022年1年間のレコードの売上高が過去30年間で最大となり、CD販売数を上回る結果となった。その詳細とは。
◆レコード売上の伸び
英国レコード産業協会(British Phonographic Industry:BPI)のデータによると、レコードの販売数は15年連続で伸びており、2022年はCDやカセットテープなどの物理的媒体の31.7%を占める550万枚の売上を記録した。ちなみに同年、CDの売上は1160万枚、カセットテープは19.5万本という結果になった。販売高でいうと、レコードは1億1680万ポンドで、CDの9830万ポンドを上回った。レコード売上増加のおかげで、レコード販売店チェーンのHMVの業績も好調のようだ。2022年5月時点での年間売上高は前年比で66.8%伸び、同社は4年ぶりに黒字化した。
アメリカでも同様に、物理的な音楽媒体の売り上げが伸びている。アメリカレコード協会 (Recording Industry Association of America:RIAA)の年次報告によると、2021年は1996年以来初めて、レコードとCDの売上額がともに拡大した。レコードの売上高は15年間伸び続け、2021年には61%の成長率で10億ドルという売上額を記録した。また2022年上半期のデータを見ても、トレンドは継続しており、物理音楽媒体の売上高のうち、レコード売上が占める割合は前年同期の68%から73%にまで増えた。
さらに、日本レコード協会が発行する報告書「日本のレコード産業2022」によると、日本でも物理的な音楽媒体(オーディオレコード)の生産実績が伸びている。2021年のデータでは、レコード(アナログディスク)は数量が191万枚(前年比174%)と5年連続で100万枚を超え、金額では39億円(前年比184%)と、1999年(36億円)以来の30億円超えを記録した。
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