米国で焼酎に追い風、あるきっかけで知名度アップ 加州では「抜け穴」?

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◆焼酎カクテルが登場
 アメリカでは焼酎の変わった提供方法として、カクテルを作るバーが出始めた。セブンフィフティ・デイリー誌は、これまで焼酎は日本の食文化の中心をなす酒の一つであったとしたうえで、「さらに(焼酎は)アメリカの本格的なカクテル・バーのメニューに登場するようになってきている」と紹介している。同誌は「我々は楽観的に構えており、焼酎が今後そう長く、日本のよく守られた秘密であり続けることはないだろう」と述べ、アメリカでの普及に期待を込めている。

 もちろん、麹による独特の風味をもった焼酎は、カクテルにせずとも人気だ。ハリウッド・レポーター誌は焼酎には「独特のウマミ・フレーバー」があると述べ、飲み続けても二日酔いになりにくいという愛好家もいるほどだと紹介している。焼酎の味わいに魅せられ、自ら熊本の醸造所から輸入するビジネスを始めるアメリカ人も現れた。創業者のソンドラ・ベイカー氏は、「驚きを感じる『絹のような質感』」があると熱く語っている。ベイカー氏は友人と二人で何度も熊本まで足を運び、日本の醸造所を探したという。こうしてアメリカに流通した商品が、冒頭でCNNのキャスターが舌鼓を打った「Mujen」だ。

◆韓国酒の勢いに乗る
 アメリカでは韓国の伝統酒であるソジュの販路が拡大しており、これが偶然にも焼酎にとって追い風となった。ソジュの一例として、日本でも有名なチャミスルをイメージするとわかりやすいだろう。カリフォルニア州では韓国系レストラン組合のロビー活動により、1998年から特定の免許を持つレストランにおいて、蒸留酒を使ったアルコール度数25%未満のカクテルの提供が可能となっている。米アルコール情報誌の『ヴァイン・ペア』(2021年12月5日)は、「この補足条項が、焼酎メーカーにとっては二面性のある抜け穴となった」と述べる。本来ソジュを意図したこの措置により、同じく25%未満であれば焼酎の提供も可能となった。

 ただし、提供の際はボトルに「ソジュ」と表記されていることが条件となる。このことが焼酎の普及に弾みをつけた反面、独自の知名度を築く妨げにもなっている。ソジュ(Soju)と焼酎(Shochu)は音も似ており、現地では混同されている。セブンフィフティ・デイリー誌は「これはカリフォルニアに限った話ではない。同様に誤ったラベルが貼りつけられたボトルが全米の酒販店の棚に並んでおり、ほとんどのアメリカ人がこれら2種類のドリンクを一緒くたにしているのだ」と指摘する。

 もっとも、ラベルのどの位置に表記すべきかまでは規定されていない。そのためラベル裏面にソジュと印字し、表面で焼酎の表記を強調するなどの工夫も編み出されている。「これは抜け穴の中の抜け穴となっている」とヴァイン・ペア誌は述べる。

 現在は認知が遅れている焼酎だが、今後は独自のジャンルとしてアメリカに定着する可能性もありそうだ。

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Text by 青葉やまと