もはやギャンブル? 通貨暴落で混乱も 異例の政策続けるトルコ大統領

イスタンブールの外貨両替所でトルコリラを交換する女性(12月2日)|Emrah Gurel / AP Photo

 トルコリラの下落が続いている。リラの価値は今年に入ってから対ドルで46%も低下しており、11月30日には史上最低の1ドル=14.0リラを記録した。先月のインフレ率は21.3%と3年ぶりの高水準だったが、インフレ時には金利を上げるという通常の経済政策とは真逆の利下げが大統領の意向で行われている。

◆あまりに無謀 金利を下げる新経済モデル
 リラの下落は、経済学者や野党の政治家が無謀だと口を揃える積極的な金融緩和によって引き起こされたとロイターは指摘。しかしエルドアン大統領は、トルコ国民は低金利による経済成長を優先した政府の新しい経済モデルを忍耐強く信頼すべきだと訴えた。エルドアン氏は、トルコの物価上昇は強欲さと輸入価格により引き起こされており、備蓄や買い溜めといった「大罪」はいかなる機関でも許されないとしている。

 政府の政策に賛同しない幹部が次々と解雇された中央銀行では、9月から政策金利引き下げを行っており、今月中にも再び緩和すると予想されている。エルドアン氏は、金融市場の変動はやがて収まり、エネルギー価格高騰による物価上昇もすぐに安定すると述べている(ロイター)。与党のメンバーへのスピーチでは、現在の政策の政治的リスクは高いかもしれないが、国のためには正しいと主張。金利を上げて寄生虫を喜ばせる代わりに、金利を下げて投資や生産をしやすくするのだと述べている(米公共ラジオ網NPR)。

Text by 山川 真智子