ハワイ州、観光客人数規制の動き 野生動物や地元住民に被害で
◆ルールを破る悪質な観光客続出
アメリカ本土からの観光客数が多かっただけでなく、今回の観光客には普段あまり見られない特徴があった。それは、過去ハワイを何回も訪れ、ハワイでの過ごし方を心得ている人々だけでなく、初めてハワイに来て、ハワイの文化やルールを知らない人々が圧倒的に多かったことである。その結果として、各地で主に野生動物に対して違法行為をし、その様子をソーシャルメディアに投稿したことで明るみに出るケースが相次いだ。
地元局『ハワイ・ニュース・ナウ』(電子版)によると、絶滅危惧種で手厚く保護されているハワイアン・モンクシール(ハワイ固有種のアザラシ)に触り、その様子をTikTokやインスタグラムに投稿した人々がいた。ハワイアン・モンクシールに触れたり、危害を加えたりするのはハワイ州法と連邦法で禁止されている。ホノルル・スターアドバタイザー(電子版)によると、投稿者は後に各500ドル(約5万5千円)の罰金刑に科された。そのほかにも、地元局KHON2によると、オアフ島ノースショアにあり、ウミガメで有名なラニアケア・ビーチで、カメの背中に乗ったり、触ったり、石を投げたり、蹴ったりするなど通常では考えられないような悪質な行為をする人々が増えたという。
もちろん、被害を受けたのは野生動物だけではない。地元局KITV4(電子版)によると、オアフ島西部では地元住民が列に割り込んだ観光客を注意し殴られるという事件が発生。アメリカ本土からの観光客のイメージがさらに悪化した。
しかし少数の悪質な観光客のせいで、ほかの善良な人々まで一括りにされるのは不公平な話だが、現在のように資源やマンパワーが限られた状況のなかで観光産業を上手に管理していくためには、観光客の人数をある程度制限することが必要かもしれない。それと同時に、ハワイ州政府と観光局は今後、ハワイの脆い自然環境や、住民の文化や生活、慣習を守るために、観光客に対する「教育」をどのように行っていくかについて真剣に考えなければならない。
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