大阪、「生活費の高い都市ランキング」でトップに 香港、シンガポールと並ぶ
♦︎大阪・東京が急浮上
シンガポールと香港に並んで昨年首位だったパリは今年、5位まで下落した。これと入れ替わるようにしてトップ集団の仲間入りを果たしたのが大阪だ。昨年の5位から一気にランクを4つ上げている。EIUは調査結果の冒頭で「アジア勢が占める首位、香港とシンガポールに大阪が仲間入り」との見出し入りで大阪のランクアップを強調している。
日本の都市としては東京も昨年比で順位を5つ上げ、8位にランク入りした。EIUは大阪と並び「円の強さがけん引する形で、日本の首都・東京が13位から8位タイに浮上した」と述べ、円高の影響で日本の2都市の物価指数が上昇したとの見方を示している。
ただし今回の調査は昨秋実施されたものであり、いずれの都市も新型コロナウイルスの影響を受けていない状態のランクとなる。英BBC(3月18日)はアジア各都市の物価指数の上昇を伝えたうえで、「しかしコロナウイルスのパンデミックが大きな損失を発生させた以降は、事実とかい離が出る可能性がある」とも警告している。
♦︎ヨーロッパ沈む
アジアの都市で物価指数が伸びる一方、ヨーロッパでは後退が目立つ。ドイツの国営放送局ドイチェ・ヴェレ(3月18日)は、「ヨーロッパ、『世界で最も費用のかかる街』の座をアジアに奪われる」との見出しで、前年首位だったパリの後退を伝えている。また、パリのみならず多くの欧州の都市がランクを落としている状態だ。
調査結果を報じるエコノミスト紙(3月18日)は原因について、「控えめな内需と国際的なエネルギー価格の弱さがこの(ヨーロッパの)地域全域においてインフレ圧力を抑制しており、それにより調査対象の37のヨーロッパ都市のうち、実に31都市が総合ランクを落とした」と分析している。
対照的に物価指数が跳ね上がっているのがアメリカだ。調査対象となった16都市中、15の都市で指数の上昇が確認された。最も顕著なのはボストンで、昨年の51位から今年は33位まで飛躍している。理由としてエコノミスト紙は、急速な人口増による需要の拡大が貢献したものと見ている。さらには労働需要が堅調なアトランタや、富裕層の流入が続くサンフランシスコなどでも軒並み物価指数の上昇が見られた。同紙は「好況な米経済とドル相場の上昇がアメリカの都市の順位を押し上げた」と述べ、個々の都市の事情に加え国全体の堅調な経済が影響したと分析している。
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