アベノミクス失敗と景気後退の可能性 GDP大幅減、海外から厳しい視線
◆何度やっても懲りない? 消費税増税が間違い
そもそもの間違いは消費税増税だとするメディアもある。FTは、最新のGDPが落ち込んだことは、安倍首相と黒田日銀総裁の日本再生計画にとっての打撃となったことは間違いないとする。金融、財政政策と構造改革の3本の矢を唱えたアベノミクスは当初はうまくいったが、2014年の消費税増税で不況になった。それなのに昨年10%に上げたことで、その再来の危険を作ったとしている。国の負債の大きさから増税は必要で適切という考えもあるが、増税は景気対策に使った分と相殺され、結果として、全般的には財政引き締めとなってしまったと同紙は述べる。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)も、もう消費税増税は3度目で最後の間違いにすべき、と厳しい評価だ。同紙は、日本の家計消費はこの10年で2.6%しか増えておらず、収入が増える、インフレが起こるとは予測できないため、消費が増えないと指摘する。アベノミクスでデフレは終わり、投資は増え、失業率も低下したが、家計消費はまったく貢献しなかったと述べる。財政再建の差し迫った必要性があるのならわかるが国の借金返済の利息はG7中最低レベルであり、増税と緊縮財政を主張する人は納得できる理由を出すべきで、増税緊縮こそが日本国民の足を引っ張っているとしている。
◆息切れアベノミクス、最後は低評価
さらに同紙は、日本は財政政策との関係をどこの国よりも再考すべきと述べる。アメリカは昨年利下げをし、欧州中銀も刺激策を拡大したが、日銀は傍観しているという見方だ。金融政策も日本ではほとんど尽きてきたが、少なくとも現在の経済的枠組みのもとでは財政政策が今後の不況で大きな役割を果たすとし、悪化する前に積極的に策を講じるべきだとしている。
前出の足立氏は、これまでも政権は経済が弱くなると財政出動をしてきたため、今回もそうなるだろうとするが、昨年12月に26兆円程度の景気対策を決定したばかりなので、いまからすぐ動いても、追加対策を可決するには数ヶ月かかると述べている。HISマークイットの田口はるみ氏は、昨年の景気対策はまだ実行に移されていないとし、とにかく実行を急ぐべきだと述べる。ただアベノミクスの大失敗は構造改革がなかったこととしており、基本的に財政出動だけでは不十分という考えだ(FT)。
結局のところ、アベノミクスは消費増税を繰り返すことで停滞し、ここまで3本の矢すべてが中途半端になっている。FTは、数年後に退任となる安倍首相は、後任に難しい仕事を残して去ることになりそうだと述べている。
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