アベノミクス失敗と景気後退の可能性 GDP大幅減、海外から厳しい視線

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 2月17日に発表された2019年10月~12月期の実質GDP(1次速報値)の成長率はマイナス1.6%となり、年率ではマイナス6.3%となった。予想を超える落ち込みに加え、新型コロナウイルスが経済に与える影響を考慮すれば、日本の景気後退は明白だと海外メディアが指摘している。

◆中国への新型肺炎の影響深刻、日本も避けられず
 フィナンシャル・タイムズ紙(FT)によれば、ほとんどのアナリストが日本は2四半期連続で経済成長率がマイナスを記録する、テクニカルリセッションに入ると見ている。CNNは、17日に発表された数字はアナリストの予想よりも悪かったと述べる。INGのアナリスト、ロバート・カーネル氏は、今後新型コロナで消費に重石がかかり、景気後退につながると見ている。2020年のGDPはマイナス1.1%と予測している。

 新型コロナの感染拡大は、中国が世界経済で重要な位置を占めるようになったいま世界的な関心事だ。中国のGDPが世界に占める割合は16%で、世界の製造業のサプライチェーンを支えている。新型コロナで中国の経済活動が停滞すれば、日本企業の生産にも影響が出ることは確実だ。現状、日本の自動車メーカーのサプライチェーンへの影響はそう大きくないようだとキャピタル・エコノミストのアナリストは見ているが、ほかの製造業では中国からの部品供給の依存度がより高いところもあると述べている(CNN)。

 中国では富裕層も増え、高級品、観光、自動車といったところに大金を使っている。中国人観光客への依存度が高い日本では、ホテル、レストラン、小売りの収益が落ち込むと大和証券のアナリストは見ている(CNN)。UBS証券の足立正道氏もインバウンドの落ち込みの影響を懸念しているが、新型肺炎が3月末までに収まれば中国経済のリバウンドが起こり、日本経済のさらなる落ち込みを食い止められるかもしれないとしている(FT)。

Text by 山川 真智子