日韓双方に痛手 輸出規制、不買運動……経済への影響 米メディアの視線

Lee Jin-man / AP Photo

◆日本メーカーにも波及
 一方で、いくつかの日本企業にも影響が及んでいる。ブルームバーグによると不買運動の影響により、韓国での日本車の販売は7月比で32%落ち込んだ。アサヒビールなどビールの販売が40%減少したとの情報も出ている。不買は現地のユニクロにも波及しているほか、韓国からの訪日客は7.6%低減しており、日本国内で営業する旅行業者や免税店の頭痛の種となっている。

 民間企業に影響が出るなか、日本の株式市場への影響は比較的軽微だ。同記事によると大きく下振れする韓国市場に対し、東証株価指数は約6%の下げに留まっている。世界経済が混乱するなかで安全な避難先と見られている円も堅調で、2%ほど円高ドル安に振れている。

◆混乱を追い風にする企業も
 両国が打撃を受けるなか、事態を商機と捉える企業もあるようだ。ブルームバーグの報道によると、輸出規制品目と同じ半導体材料を製造する韓国のソウルブレイン社は、7月上旬比で株価を50%上げている。日本では防衛関連株が勢いに乗っており、石川製作所と火薬関連の細谷火工は23日の取引だけで10%の伸びを見せた。

 窮地のサムスンでさえ、今回の混乱を回復の契機にできるとも見られている。半導体価格に注目するCNBC(7月31日付)は、ここ1年ほど低迷していた供給価格が品薄で回復するとの予測を披露している。アナリストの分析によると、サムスンが新たな原料の調達先を選定するには、2、3ヶ月を要するようだ。それまでは半導体製品の供給が限られることが予想されることから、すでに価格は上昇傾向に転じている。価格下落を理由に直近の四半期で56%の営業利益減を報告していたサムスンにとって、思わぬ福音となる可能性があるようだ。

Text by 青葉やまと