北朝鮮エコノミスト「スイスやシンガポールを手本に発展」

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 制裁が解除され、政治情勢が十分に回復すれば、北朝鮮は「資源に乏しく領土も狭いが、その地の利を最大限に活用している」スイスやシンガポールのような国を見本にできるだろうと李氏は語った。

「東アジアの中心に位置する朝鮮半島は、恵まれた地の利を得ています。今後は、運輸事業の発展のために近隣諸国と協力していくことになるでしょう。わが国の鉄道が韓国とシベリアを連結すれば、多くの国々が海路ではなく鉄道を選択するでしょう」

 この構想は、何十年とまではいかないが、長年にわたり議論されてきた。北朝鮮の鉄道は既にロシア、中国、韓国と繋がっており、韓国の文在寅大統領は南北を結ぶ鉄道の運行を可及的速やかに再開する案を公に支持した。とはいえ、輸送ハブ計画を実行しようとする過去の試みは、政治的摩擦や投資金ないし持続的な利益の不足により失敗を繰り返してきた。

 この計画が進展するには、ワシントンが北朝鮮への重い制裁および同国と取引をしたものへの処罰という「最大限の圧力」を緩和しなければならないだろう。トランプ大統領は金委員長の外交手腕を評価する一方で、北朝鮮が非核化へ向けた明確かつ具体的な措置を講じるまで制裁を継続するとの考えを示している。

 国際金融機関への加盟によって、北朝鮮が渇望する開発資金と経済的な専門知識への扉が開かれるだろう。韓国の文大統領は先ごろ、金委員長がIMFや世界銀行への加盟に関心を示していると語った。しかし、そのためには、構造改革と北朝鮮が二の足を踏む透明性の開示が要求されることになるだろう。

 そのような要求に応じる用意が平壌にあるのかと問われた李氏は、現在北朝鮮は自国のGDP統計を公表しているとだけ答え、それ以上のコメントを控えた。代わりに、ボールは国際機関の側にあることを示唆した。

 李氏は、1990年代に北朝鮮がアジア開発銀行への加盟を試みて失敗したことに言及し、「アメリカや日本のような敵対国の制裁措置と動向により、国際組織への加盟に向けたわが国の努力はこれまで実現しませんでした」と述べた。「アジア・太平洋地域の組織にすら加盟できないのであれば、国際機関への加盟はより一層困難を極めるでしょう」

By ERIC TALMADGE, Associated Press
Translated by Naoko Nozawa

Text by AP