中国融資の詳細が明らかに? パキスタンがIMFに支援要請
◆膨らんだ中国への債務 詳細は不明
IMFのラガルド専務理事は、近々IMFチームがパキスタンを訪れ、IMFが支援する経済プログラムについての協議が始まるだろうと述べたが、どのような支援の形になろうと、特定の国への負債の内容、規模、条件については、完全な理解と絶対的な透明性が必要になると述べている。
パキスタンの債務の多くは、中国へのものだと見られている。WSJによれば、中国は620億ドル(約6.9兆円)の投資プログラムを港湾、発電所、道路などの建設のため、3年前から始めた。資金はパキスタン国債、または中国が新設した発電所から電気を買う義務によって捻出されているというが、合意の詳細は公表されていない。ロイターは、ほとんどの中国からの融資は、民間の発電プロジェクトを通じてのもので、政府へのものではないとしている。しかし、プロジェクトの年間利益に対し、パキスタンは政府保証を付けているとされる。パキスタン政府が責任を負い、事実上の隠し赤字にもなりかねないことから、一部の契約は不透明だという指摘も出ているという。
ムハマッド・ハマッド・アザール歳入担当副大臣は、インフラ整備は成長促進には必要だという政府の考えから、中国のプロジェクトは予定通り進めるべきだとしている(ロイター)。その一方で、カーン首相は一部のプロジェクトは「富ではなく負債を創造している」とも述べており、政権が静かに中国プロジェクトの見直しを進めているとWSJは報じている。
◆難色を示すアメリカ 米中対立の新たな火種か?
パキスタンが支援を受けるための条件は、IMFが決め、その後IMFの執行委員会で救済が承認されることになる。委員会で最大の議決権を持つのはアメリカで、拒否権は持たないものの、IMFの融資に影響を与えることができる。
実は、中国企業にインフラ整備をさせるために返済不能な額を借手に貸す中国のやり方を、アメリカは「借金地獄外交」と非難している。米政府関係者や議会は、IMFを通してアメリカの納税者の金を送り込めば、中国のための救済融資になってしまうと主張しており、安易な救済に釘をさしている。
WSJは、パキスタンや他の国における中国の大盤振る舞いが、米中緊張の引火点として浮かび上がったと指摘しているが、米中の対立が強まるなか、新たな問題となりそうだ。
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