キューバ、自営業の許可証発行を再開へ 蓄財・脱税防ぐ新規制も導入
キューバの共産党政権は、2017年8月に凍結された飲食店や朝食付き宿泊施設の営業許可証新規発行を今年12月に16ヶ月ぶりに再開すると国営メディアを通じて今月発表した。同時に、脱税や富の蓄積を防ぐための新たな規制を開始する狙いだ。
キューバ政府関係者は今回の変更に至った理由として、民間企業が国家主導の経済に欠かせない要素になったことを挙げ、そのうえで規制強化が必要だと述べた。
2015年にアメリカとの関係が正常化して以来、キューバの観光業は急激に伸び、経済力のある上流中産階級が力をつけてきた。彼らのビジネスは、小規模の贈収賄や国営企業からの盗品によって成り立つことが多い。
新たに生まれた富裕層は、海外に移住したキューバ人から資本提供を受けていることも多く、今も平均月給30ドルで暮らす大勢のキューバ国民の間では怒りや不満が高まっていた。
当局が国営メディアを通じて発表した内容によると、先述の新規制により、キューバでは2つ以上の事業を運営することが禁じられることになるという。また、企業はすべての取引を国営銀行の口座を通じて実施しなければならない。収益の高い企業には新たな税金が課せられ、友人や親族の名前を使った、いわゆる「名義貸し」による企業経営を行った起業家は、永久的に営業権が取り消されることになる。
「長年、複数のライセンスを所有してきた我々のような者を尊重してくれることを願っていたのですが」と話すカメリオ・コンディス氏は、所有するアパートを宿泊用に貸し出す傍ら、民間のレストランで勤務している。「これでは、ただ不正行為や汚職が増えるだけだ」。
新規制には、キューバ国内での事業運営にかかわる問題緩和のための対策も含まれている。たとえば、複数の国家機関からの査察回数を減らすこと、あるいは事業主の急病や長期旅行の際に従業員を管理者として指定できる、といった内容が盛り込まれている。
世界の最後の共産主義国家の1つであるキューバは、中国やベトナムといった経済大国と比較し、大きな改革を行っていない。現行政府の財政状況は厳しく、生産性の低迷や盗難、そして常習的な欠勤により機能に支障をきたしている中、人件費を減らそうと悪戦苦闘している。教育費や医療費が無料で、住宅や食費にも補助が出るにもかかわらず、今の給与水準では人々は生活していくのがやっとだ。
レストランオーナーから管理人まで、あらゆるジャンルを含め、営業許可を受けた「自営業者」の数は、キューバ政府が民間企業の対象枠を広げた当初の2010年157,351名から、今年5月には591,456名にまで増加した。
さらに数十万ものキューバ国民が、未認可の民間企業でフルタイム、もしくはパートタイムで勤務しているものとみられる。
By MICHAEL WEISSENSTEIN and ANDREA RODRIGUEZ , Associated Press
Translated by isshi via Conyac