カリフォルニア州のGDP、英国抜き世界5位に 住居費の高騰が問題化

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 アメリカ政府が発表したデータによれば、カリフォルニア州がイギリスを抜いて、世界第5位の経済規模となったことが分かった。好況が続くテクノロジーなどの強い産業が経済を支えており、州外からの転入者や移民が増加している。その一方で、住宅価格の高騰で低所得者層が州外に流出するという問題も出てきている。

◆経済絶好調 日本も追いつかれる?
 カリフォルニア州のGDPは2016年から2017年までで1270億ドル(約13兆8000億円)増加し、2兆7000億ドル(約294兆円)を超えた。為替の影響もあるが、この期間イギリスの経済生産高がやや縮小したため、カリフォルニア州がアメリカ、中国、日本、ドイツに次ぐ経済規模になった。実は2002年も世界第5位だったが、世界金融危機後の2012年には10位まで転落していた。以来雇用、GDPともに増加し、みごと5位返り咲きを果たした。

                                                                                                                 

 今回のデータが、テクノロジー産業のシリコンバレー、世界のエンターテイメントの中心であるハリウッド、アメリカのサラダボウルと言われ農業の盛んなセントラルバレーなどを抱えるカリフォルニア州の経済の規模が、いかに大きなものであるかを物語っているとAPは述べる。高いGDPに最も貢献したのは金融サービスと不動産業で、テクノロジー企業を含む情報産業、製造業がそれに続いた。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のリー・オハニアン教授は他の先進工業国に比べて労働生産性が高いことも指摘しており、日本もうかうかしていられない状況だ。

◆人口も増加中 住宅価格も高騰
 サンフランシスコ・クロニクル紙(SFC)の姉妹サイト、SFゲートによれば、カリフォルニア州の人口は約3980万人。好調な経済を繁栄し、出産による自然増と、州外からの転入者や国外からの移民で、人口は昨年30万人以上増加した。当然住宅価格は高騰しており、ロサンゼルス・タイムズ紙(LAT)が引用した不動産サイトによれば、州の住宅価格の中央値は53万7315ドル(約5860万円)で、アパートの空き部屋の家賃の中央値も、2428ドル(約26万5000円)と高騰している。

 もっともSFCは、カリフォルニア州に転居してくる人々は収入が高く、教育レベルの高い人々だと述べる。年収5万ドル(約545万円)以上、大卒以上で、高いスキルを要する職についており、特に高給で仕事が豊富にあるサンフランシスコのベイエリアでは、高い生活費もカバーできると説明している。

 対照的に、独立系調査会社Beason Economicsの研究では、低所得者層の州外への転出は増えている。2006年の住宅バブルの際には大量の州外転出があったが、2012年に底を打った。しかし、近年また住宅価格が上がるにつれ、住居費の安い州への移動が増えているという。研究結果をまとめた著者たちは、「健全な経済を維持するために、どの収入・雇用レベルの住民も基本的な生活費をまかなえるよう、州政府は対策を講じる必要がある」と述べている。

◆住宅難が経済に影響? ベイエリアは深刻
 好調な経済に魅かれ、多くの転入者があるとはいえ、州の未来に懸念を示す声もある。仕事探しサイト、インディードのチーフ・エコノミスト、ジェッド・コルコ氏は、連邦政府の移民政策が変われば、海外からの移民が減るだろうと述べる。もっとも、それにより住宅の価格や家賃などが下がり、転出する人が減る可能性もあるとしている(SFC)。

 LATは、所得の高いベイエリアでさえも、最近ではテクノロジー・セクターの職の増加や転入者数の伸びも鈍化していると指摘し、安心は出来ないと述べる。企業の幹部も、住宅コストが従業員のリクルートや引き止めの障害になっていると認識しているという。Beacon Economicsのリサーチ・ディレクター、アダム・フォウラー氏も、住宅供給が停滞すれば、今後のGDPへの影響が大きいとしている。

Text by 山川 真智子

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